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世界が封じ込めを急ぐ新型コロナの新たな脅威、オミクロン変異株

2021年11月22日月曜、ハレ(ザーレ)の大学病院内新型コロナ集中治療室で、重度のCovid-19患者を治療する集中治療看護師たち。(AP)
2021年11月22日月曜、ハレ(ザーレ)の大学病院内新型コロナ集中治療室で、重度のCovid-19患者を治療する集中治療看護師たち。(AP)
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27 Nov 2021 01:11:39 GMT9
27 Nov 2021 01:11:39 GMT9
  • 今週頭に特定されたこの変異株について、科学者らは未だ解明できていない
  • アラビア湾沿岸の国を含む数ヵ国が、南アフリカからの旅行者に対し渡航制限を設置

ブリュッセル:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の大流行が始まって2年近くが経過した26日、世界はその新しい変異株を封じ込めようと性急に動いた。この変異株は、ほぼ全ての大陸で感染の執拗な波を煽っている既存の株より危険なものである可能性が高い。

世界保健機関(WHO)の委員会はこの変異株を「オミクロン」と名付け、伝染性の高い懸念されるウイルスとして分類した。これは、現在最も蔓延しているデルタ株と同じ分類に当たる。デルタ株は未だ、ヨーロッパおよび米国一部地域で疾病と死亡件数を増やし続けている。

「急速に感染を広げているようだ」と、ジョー・バイデン米国大統領は新規変異株について述べた。何百万もの米国世帯で感謝祭の集いが再開し、少なくともワクチン接種を終えた人々に通常の生活が戻ろうとしている雰囲気を祝福してから、たった1日後のことだ。新しい渡航制限についての声明の中で、「警戒を強めることを決定した」と大統領は記者団に告げた。

オミクロンの実際の危険性は判明していない。だが初期の証拠は、他の伝染性が高い変異株と比較して再感染リスクの増加を示唆している、とWHOは説明した。つまり、COVID-19にかかり回復した人々が、再び感染する可能性があるのだ。この変異株に対し、現在のワクチンが低い有効性を示すかどうかが分かるには数週間を要する。

南アフリカでのこの変異株の発見を受けて、米国、カナダ、ロシア、その他多数の国々は欧州連合と同様に、同地域からの入国希望者に対する渡航規制を発表した。南アフリカでは、この変異株が新たな感染急増をもたらしている。

ホワイトハウスは南アフリカと同地域内の他7ヵ国からの渡航について、米国が29日から制限する旨を発表した。バイデン大統領はこれにより、陰性の検査結果を証明して帰国する米国民および米国永住者を除いて、指定国との往来は「禁じられる」と説明した。

WHOを含む医療専門機関は、変異株が十分に研究される前の過剰反応に警告を発している。だが執拗なウイルスが、世界中で500万人以上を死に至らしめたパンデミックを引き起こしたのだ。世界は不安に駆られ、最悪の事態を恐れている。

英国のサジド・ジャビド保健相は、「可能な限り早い段階で、素早く行動しなければならない」と議員らへ意見した。

オミクロンは現在、南アフリカ内だけでなく、ベルギー、香港、イスラエルへの渡航者にも見つかっている。

この変異株がより重篤な疾患を起こすかどうかの緊急の兆候はなかった。他の変異株と同じく、感染者の中には症状が出ない人もいる、と南アフリカの専門家らは述べている。WHOはこれまでの主要な変異株のケースと同様に、ギリシャ文字のアルファベットからこの変異株をオミクロンと名付けたことを発表した。

遺伝子変化のいくつかが懸念されるものの、それが公衆衛生に対しどれほどの脅威となるかは分からなかった。これまでの変異株にはベータ株のように、科学者を当初心配させながら、たいして広がらなかったものもある。

パンデミックによる経済的混乱が深まることへの恐れは、アジア、ヨーロッパ、そして米国で株を急落させた。ダウ工業平均株価は一時的に1,000ポイント以上下落した。

S&P500種指数は2.3%下がり、2月以来の最低値となった。石油価格はおよそ13%急落した。

「最も避けたいのは、より多くの問題を引き起こす新たな変異株を呼び込むことだ」と、ドイツのイェンス・シュパーン保健相は述べた。27ヵ国が構成するEUの加盟諸国は最近、感染の大規模な急増を経験している。

英国、EU諸国と他の国々は26日、渡航規制を発表した。中には、変異株を認識してから数時間の国もあった。米国がなぜ29日まで待つのかを問われたバイデン大統領は、「医療チームからそう推奨されたため」と答えたのみだった。

ウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長は、航空便は「この新規変異株がもたらす危険性について明確に理解できるまで停止されなければならず、この地域から帰国する渡航者は厳しい検疫ルールを遵守すべき」と発表した。

フォン・デア・ライエン委員長は、「変異は、数ヶ月以内に世界中に広まる可能性を持つ、よりいっそう懸念される変異株の発生や拡大を引き起こしかねない」と警告した。

「疑わしい変異株」と、この変異株の感染例を発表した初の欧州連合加盟国となったベルギーのフランク・ヴァンデンブルック保健相は述べた。「非常に危険な変異株であるかは、不明である。」

オミクロンは米国ではまだ検出されていない、と米国政府の首席医療顧問を務めるアンソニー・ファウチ博士は述べた。他の変異株と比べて伝染性が高く、ワクチンに高い耐性を持っているかもしれないものの、「現時点ではそれははっきりと分かっていない」と、博士はCNNへ説明した。

祭日の週末を過ごしていたナンタケット島の書店の外で記者に答えたバイデン大統領は、新規変異株が「大きな懸念」であり、「世界的にワクチン接種が完了するまで、パンデミックが終わらないことをいっそう明確にした」と指摘した。

大統領は改めて、ワクチン未接種の米国民に対し、様々な場所で利用可能になっているワクチンの接種を促した。また世界中でより迅速にCOVID-19のワクチン製造を進めるために、ワクチンの知的財産権保護を放棄するよう各国政府へ呼びかけた。

世界で最もワクチン接種率が高い国の1つであるイスラエルも26日、マラウイから帰国した渡航者に初の新規変異株感染例が検出されたことを発表した。感染の判明した渡航者と疑いのある他2名は隔離された。イスラエルは3名全員がワクチン接種済みと発表したものの、当局は渡航者らの正確なワクチン接種状況について調査を進めている。

夜通しで10時間旅した後の26日の朝、南アフリカのケープタウンからアムステルダムへ到着したKLM598便の乗客は、スキポール空港の滑走路の端で特別検査のために4時間の拘束を受けた。ヨハネスブルクから到着した便の乗客も、隔離され検査対象となった。

「ばかげています。恐ろしい病にすでにかかっていなければ、今感染しているに違いありません。」乗客の一人だった、ローマに拠点を置くアート・コンサルタントのフランチェスカ・デ・メディチ氏は語った。

一部の専門家は、富裕国によるワクチンの買いだめがパンデミックを長引かせる恐れについて、変異株の出現が良い例になっていると指摘した。

アフリカでCOVID-19のワクチン接種を終えている人々は、人口の6%に満たない。何百万人という医療従事者や影響を受けやすい人々が、未だ1度も接種を受けていない。そういった状況は、ウイルスの広がりを加速しうる。そして、危険な変異株へと進化する機会をウイルスに与えることになる。

「これは、ワクチン配布における不平等がもたらす結果の1つだ。豊かな国々による余剰ワクチンの囲い込みが、どこかの時点で否応なく、全ての国に跳ね返ってくる。」と、英国のサウサンプトン大学グローバル・ヘルス科で特別研究員を務めるマイケル・ヘッド氏は語った。そしてG20の指導者らへ、「曖昧な約束の域を超えて、ワクチンを共有するという約束を実際に果たす」よう求めた。

新規変異株によって投資家の不安は増しており、数ヶ月をかけて前進したCOVID-19の封じ込めは逆転する恐れがある。

「投資家はまず行動し、詳細が分かるまで質問を後回しにする可能性が高いでしょう。」と、外国為替ブローカー、オアンダのジェフリー・ハリー氏は語った。

アフリカ疾病管理予防センターは、新規変異株を報告した国に対してのあらゆる渡航禁止令を阻止しようとした。同センターは、過去の経験上、そのような渡航規制が「有意義な結果を生んだことはない」と説明している。

米国の規制は、南アフリカ、ボツワナ、ジンバブエ、ナミビア、レソト、エスワティニ、モザンピーク、マラウイからの渡航者へ適用される。ホワイトハウスは今回の規制が、過去2週間に指定地域を旅行したあらゆる外国人の入国を禁止した初期のパンデミック政策によく似たものになることを示唆した。

英国は南アフリカとその他のアフリカ南部5ヵ国からの航空便を禁止し、それらの国々から最近到着した全ての人が新型コロナウイルス検査を求められるだろうと発表した。

カナダは、過去2週間に南アフリカへ渡航歴のある全ての外国人の入国を禁止した。

日本政府は、エスワティニ、ジンバブエ、ナミビア、ボツワナ、南アフリカ、レソトから帰国する日本人は政府指定の宿泊施設に10日間隔離となり、その期間中に3度のCOVID-19検査を受けなければならないと発表。日本は未だ、外国籍の渡航者に入国を許可していない。ロシアは、28日付で渡航規制が敷かれることを発表した。

AP

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