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日本人のレンズを通したアラブ人

写真はレバノンの首都ベイルートの一部で、地平線がくっきりと見えている。(AFP)
写真はレバノンの首都ベイルートの一部で、地平線がくっきりと見えている。(AFP)
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11 Mar 2022 02:03:53 GMT9
11 Mar 2022 02:03:53 GMT9

ナダル・サモーリ

「文化の衝突」とは、二つの異なる文化の習慣、態度、モラル、意見などの相違が明らかになる興味深い現象だ。

アラブニュース・ジャパンは、中東在住、または中東に関心を持つ日本人3名に、それぞれの経験について話を聞いた。二つの文化の違いや、その結果得られた中東への視点を紹介するため、コメントに若干の編集を加えている。

レバノン在住のある日本人によると、日本と中東の文化の相違点として、歩行者への道案内におけるサポートの不足が挙げられるという。

「以前、ベイルートで交通事故に居合わせた時、運転手が向かい合って立ち、激しく叫んでいました。どちらも相手の話を聞こうとはしません。音のバトルのようでした。少なくとも、アラビア語がわからない私には、そのように聞こえました。私には、アラビア語の会話自体、言い争いのように聞こえます。私が慣れていない文化的なものだったのかもしれませんが、レバノンに長年住んでいて本当に困るのは、間違った道案内をされることです。例えば、ある人が私を右に案内することがあります。別の人に道を尋ねると、まったく逆の方向を示します。私は、日本語で『驚いた』という表現の、『びっくりした』という気持ちになりました。正しい方向はどちらなのでしょうか?」とその日本人在住者は話した。

「日本では、誰かが道を尋ねていたら、順を追って案内してあげる必要があると考えがちです。そのため、人々は通常、詳しく説明したり、可能であれば歩いて目的地まで案内したりする傾向があります。その理由は、日本の文化が相手の立場に立つことを強く意識しているからだと思います」と、その在住者は付け加えた。

日本には、ほとんどすべての物事について「やりかた」というものがあり、それが挨拶であれ道案内であれ、それを行う定まった方法がある。そのため、日本人が中東で経験するような自由奔放な出来事は滅多になく、そのことが態度の違いを生み出している。多くの日本人は、多くのアラブ人が見せる衝動的な気質を楽しむかもしれないが、それは「カオス」とも受け取られ得る。

「一度、私の隣人が私のために自分の声を犠牲にしてくれたことがあり、感服しました。私がバスに乗れるように、彼女はリビングルームの窓からそのバスを止めようと叫んでくれたのです。そしてバスは止まりました!しかし料金は?実際のバス停はありません。バスが停まるのは、運転手が仲間に会ったときだけです。ある時は、運転手が彼の同僚に豆を投げ、二人とも大笑いしていました。時間通りにつくかどうか心配でしたが、二人の行為にほっこりしました」とレバノン在住の日本人が話してくれた。

レバノンにバス停がなく、公共バスの停留所があまり形式立っていないことは、日本にはバス停があり、バスに事前に計画されたルートが割り当てられていることと、非常に対照的だ。

日本の多文化共生コンサルタントのミカ・ミヨシ氏は、さまざまな料理を探求する趣味がきっかけで、中東文化に魅了されるようになったこと、そして中東の人々に対するイメージがメディアから得た先入観に基づいていることが多いことについて語った。

「私は東京に住んでおり、アラブ料理が大好きです。しばしばアラブ料理店や屋台を時々訪れ、店主の方と話をします。その中で、エジプトやシリア、レバノン出身の方々と知り合いました。彼らは、自分たちの国の人々がいかに日本人に対して良いイメージを持っているかを話すことが良くあります(私が客だからというわけではなく、正直なところだと思います)。また、日本のサブカルチャー人気も話題にします。『おしん』などのドラマや『ナルト』などのアニメの話をします」とミヨシ氏は話した。

「私が出会った中東出身の人々の多くは、グレンダイザーや、中東ではキャプテンマジェドとして知られている『キャプテン翼』など、たくさんの日本のアニメキャラクターを知っていました」とミヨシ氏は述べる。

「私たち日本人の社会の中で、中東出身者の存在は限られており、ほとんどの日本人は中東の人々やその文化についてよく知らないと言っていいでしょう。私の場合は、その地域出身の友人がいるので、一般の日本人よりはアラブ人に対する理解があります。東京にいるアラブ人は大富豪だというイメージを持っている人もいるかもしれませんが、それは偏ったイメージだと思います。また、アメリカのテレビドラマの影響で、そこでの描かれ方のせいで、アラブ人は悪い人、暴力的な人というイメージで染まってしまっている人もいるかもしれません。個人的には、中東の人々の良い特徴を耳にすることが多くあります」とミヨシ氏は話した。

2016年から2020年までレバノンのベイルート・アメリカン大学(AUB)に在籍していた日本人学生、カイ・イシガミ氏は、在籍中の経験を詳しく話し、レバノンの若者たちとの交流を通じて培った文化に関する信条についてコメントした。

「私は、人はそれぞれ固有の特徴を持っており、それは必ずしも国籍に依存するものではないと信じています。私は中東で出会った人々に心から感謝しています。レバノンでは、さまざまな面でサポートされ、歓迎され、助けられました。私は大学の寮に住んでいたので、寮生と親しく交流し、その中にはルームメイトもいました。最初のルームメイトは、ベイルートを案内してくれたり、地元のレバノン料理屋さんによく連れて行ってくれました。また、私たちはほぼ毎週末に食料品店へ行き、日用品を調達していました。レバノンの人々について最初に気づいたことは、私が外国人であるにもかかわらず、とてもフレンドリーな態度で歓迎してくれるということです」とイシガミ氏は言う。

3人の日本人の中東文化に関する見解が、日本人の認識の典型的な例となるわけではないが、彼らの体験は、直接の視点から得られた両文化の具体的な違いを明らかにし、また、元の社会から遠く離れた外国人が、新しい環境の中で自己を確立し、同時に自身の社会との相違を評価する様子を人々に垣間見せる。

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