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冬の寒さにシリア人はピスタチオの殻に暖を求める

ここ数ヶ月、シリアは燃料危機に見舞われ、暖房の燃料油の価格が急騰し、また政府が保有する地域では、需要の高い調理用ガスを求める人の長い列が見られた。 (AFP)
ここ数ヶ月、シリアは燃料危機に見舞われ、暖房の燃料油の価格が急騰し、また政府が保有する地域では、需要の高い調理用ガスを求める人の長い列が見られた。 (AFP)
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27 Dec 2019 02:12:51 GMT9
27 Dec 2019 02:12:51 GMT9
  • ピスタチオはこの地方ではどこでも手に入り、殻は加工時の副産物として安く売られている
  • 一方、暖房用燃料はガロン(3.79リットル)あたり約130ドルかかり、1ヶ月ほどしか持たない

タル・アル・カラマ:内戦の続くシリア北西部では、何百万人もの人々が過酷な冬に備えている。アブ・ワリドは自宅の居間のヒーターの上でピスタチオの殻の入った容器を空にした。

彼の3人の子供は、手作りのストーブの周りに身を寄せ、35歳のワリドは、1分あたりに燃やす殻の数を調節するダイヤルで熱を調整した。

「燃料不足のため、代替品を探し始めました」とアブ・ワリドはAFPに言う。

「そしてピスタチオの殻によるヒーターに行き着いたのです」と、ジハード主義者の多いイドリブ県にある自宅の長椅子に足を組んで座り、彼は語った。

ここ数ヶ月、シリアは燃料危機に見舞われ、暖房の燃料油の価格が急騰し、また政府が保有する地域では、需要の高い調理用ガスを求める人の長い列が見られた。

この危機について、当局者たちはダマスカス政権を標的とした西側の制裁の結果だと非難しているが、野党が抱える地域ではさらに深刻で、供給不足により価格が高騰している。

アブワリドのアパートの外には、数十個のピスタチオの袋が高く積み上げられている。「殻は燃料よりも安いのです。燃料は現在手に入りません」と彼は言う。

https://www.youtube.com/watch?v=jLNDmF9m4uU&feature=emb_logo

「殻は煙や臭気も発しません」と彼は付け加え、燃やすのに、殻がなぜ木よりも良いのかという理由を説明した。

シリアの最後の主要な野党の砦は約300万人の居住地であり、その半数近くが国の他の地域からの避難者だ。

8月の停戦協定とエスカレーション解除を求める声が増えているにもかかわらず、政権部隊とそのロシアの支援者たちは12月中旬から爆撃を強化し、数万人の民間人の流出を引き起こした。

冬の洪水が混雑した避難キャンプを襲い、大規模な避難が起こるのにこれ以上最悪のタイミングはなかった。

燃料の暖房費の高騰により、失業率が高く公共サービスが存在しない州では、暖かい家が贅沢になった。

しかし、サディーク・アルワンにとってビジネスは活況を呈している。

今年初め、彼はイドリブ南部のカーン・シェイクンの町から避難してきた。政府軍がこの地域を奪還する前のことだった。

アルワンはイドリブの都市の北にあるダナの町に移り、そこでピスタチオのヒーターを作る専門の小さな工房を開いた。

ヒーターは、燃焼室とピスタチオの殻で火を燃やす独立したホッパーで構成されている。

アルワンは当初、彼の顧客は主にカーン・シェイクン出身の他の避難してきたシリア人だと考えていた、彼らはこんな間に合わせのストーブに慣れているから、と彼は言った。

しかし現在、彼の15人の従業員は需要に全く追いついていない。

「せいぜい500台のヒーターを作るくらいだろうと思っていました」とアルワンは言う。

「しかし、これまでに約2,500台を作りました」

アルワンは、価格が約130ドル(117ユーロ)の炉の人気は、その費用対効果のためだと考えている。

ピスタチオはこの地方ではどこでも手に入り、殻は加工時の副産物として安く売られている。 アルワンによると、殻はトルコから輸入し、1トンあれば一冬を凌ぐのに十分で、175ドルで済む。

一方、暖房用燃料のコストは1ガロン(3.79リットル)あたり約130ドルで、わずか1か月しか持たない。

ただ、比較的安価な熱源であるにもかかわらず、このピスタチオの炉は、イドリブのほとんどの家庭で購入できる物ではない。

避難民のためのキャンプは生活環境が悪く、住民は主に援助を受けて生活しており、食料や暖かい衣服を買うのに十分なお金をほとんど持っていない。

クルベット・アルジョス村のキャンプの場合がまさにそうである。

トルコ国境近くの集落は、ラタキア県に隣接する北部の田園地帯で、政権軍とジハード主義者との戦いから逃れた何千人もの人々の故郷だ。

フセイン・ベロもその一人である。

テントの中に座って、51歳の彼は言う。テントが洪水に侵され、道路が湿原に沈む冬のキャンプでの生活は特に難しい。「家に帰りたいと思いますが、安全ではないのです」と語る彼が、ラタキアの家から避難してきてから5年が経つ。

「頭の上で建物が崩壊するよりも、大雨と洪水の方がまだましです。」

AFP

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