シャムス・エル・ムタワリ

ドバイ：クリエイティブ・ダイニング・プラットフォーム「INKED」の共同創業者であるケンザとパトリック・ジョージャー夫妻（Kenza and Patrick Jarjour）が、ドバイの芸術文化地区アルサーカル・アベニューに近頃オープンさせたヴィーガン寿司カフェ「モビー（moby）」で、芸術表現の一つとしての食を再定義し直そうとしている。

持ち帰り形式の同店は「植物由来の食品も十分美味しく、体にも地球にも良いことを伝える」というコンセプトのもと2021年9月にオープン。ヴィーガンではない客もいかに同店に惹きつけられているかパトリックは説明する。

同店は単に美味しい料理を提供するだけでなく、和食にインスピレーションを得た豊富なメニューと共に、より持続可能なライフスタイルを推進することが目的だと彼らは話す。

そして、自分たちの行動すべては情熱に突き動かされた結果であり、そのひとつが和食に対する情熱であるとも語ってくれた。

和食と植物性食品はすぐに結びつかないかもしれないが、2人は植物由来の食事と和食との関係を探ることに興味を持っていた。

「調べてみると、和食はヴィーガン料理と相性がいいことが分かりました。ベジタリアンやヴィーガン向けのメニューは既にたくさんあるのです。味わいや香りも豊かなので、思ったほど大変ではありませんでした」とケンザは説明。

「INKED」のエグゼクティブシェフであるハドリエン・ヴィレドュー氏（Hadrien Villedieu）が手掛ける同店のメニューは、日本の調理方法で下ごしらえを行った野菜を組み合わせ、料理の本質が凝縮されたものになっている。また、巻き物やカツサンド、おにぎらずといった独自に解釈したメニューのほか、抹茶ラテや煎茶梅アイスティーなど各種ドリンクも提供する。

巻き寿司を試してみたいと来店する客であれば、「きのこ好きのための天ぷら巻き」「ダイナマイトカリフラワー巻き」「スモークド・ジャックフルーツ」など、1004 Gourmetから仕入れた食材を使った新しいメニューを味わうことができる。

日本食レストランがひしめくドバイのフードシーンの中で、モビーはヴィーガンであろうとなかろうと誰もが楽しめるクリエイティブで多彩なメニューにより、ひときわ輝きを放つ。

「皆が肉や乳製品の消費量を少しずつ減らそうとしています。ですが、私たちは新鮮で美味しいものを手の届く範囲で提供したいと考えています。最近では植物性食品を食べる必要があると思うのではなく、ただ美味しく食事をしているだけだと思ってほしいのです」とケンザは付け加えた。

2人が掲げるサステナブルな社会の実現への使命が（同アベニューのコンセプトと合致していたことから）、立地としてアルサーカル・アベニューが戦略的に選ばれた。これは、2人が積極的にディスカッションに参加していることにも表れている。

パトリックは2020年ドバイ万博において食の未来について講演し、食品廃棄物、畜産、環境問題など様々な例を挙げ、「モビーは今日の主な食糧問題について声を上げるのに役立つプラットフォーム」であるとアラブニュース・ジャパンに話した。

2人は常にユニークな料理体験を提供することを常に考えているが、客は「モビー」またはハンバーガーレストランの「INKOGNITO」のいずれかで食事をしながら、その味を体験することができる。