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文化間に橋をかけサウジアラビアのより良い理解を促す、非営利組織の取り組み

サウジの平和活動家、ナイフ・アル=ハルビー氏、左から2番目、ケンブリッジ大学でのエマージング・ピースメイカー会場にて。アル=ハルビー氏は、理念の実現を目指してソーシャルメディアでの人材採用に踏み切った。(画像/提供品)
サウジの平和活動家、ナイフ・アル=ハルビー氏、左から2番目、ケンブリッジ大学でのエマージング・ピースメイカー会場にて。アル=ハルビー氏は、理念の実現を目指してソーシャルメディアでの人材採用に踏み切った。(画像/提供品)
アリゾナ州立大学学生時代のナイフ・アル=ハルビー氏。異宗教間グループ、SunDABTのイベントにて。
アリゾナ州立大学学生時代のナイフ・アル=ハルビー氏。異宗教間グループ、SunDABTのイベントにて。
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30 Dec 2019 10:12:11 GMT9
30 Dec 2019 10:12:11 GMT9

ハラ・タシュカンディ

  • Saudis for Peaceの設立者が、どのようにしてゼロからの成長を遂げたのかを語る

この世界は、宗教的な不寛容、偏見の横行、かつてないほど多くの不和に満ちている。そんな中では多くの人々が、「自分の身は自分で守る」というのが生き残るためのモットーになったと信じている。

だが一緒に立ち上がり、より明るい未来のために団結することが、より良い明日を導く鍵だと信じる人々もいる。そんな人々の1人が、ナイフ・アル=ハルビー氏だ。

26歳の同活動家は、米国のアリゾナ州立大学在籍中にその天職を見つけた。大学では、彼はSunDABTとして知られる学生グループに参加していた。学内に、より平和で寛容な、開放的なコミュニティを作ることを目指す異宗教間組織だ。

「その体験が私を変えました。私は新しい人間になり始め、残りの人生をその人物として生きようと決めました。そして、異宗教間、異文化間の対話を私の周囲の人々に紹介することを決意したのです。」アル=ハルビー氏は述べた。

アル=ハルビー氏はその取り組みによって、様々に異なる教義、人種、文化を持つ人々を引き合わせることを目指している。また外の世界で、サウジアラビアに関するより良い理解を得ようと発信してもいる。

「サウジの人々は外の人々について多くの誤った認識を持ち、外の人々はサウジについて多くの誤った認識を持っています。私は、文化と社会の架け橋になりたいのです。」と彼は述べた。

その誤解の大部分が、近年サウジ社会が経験している変化のせいであると彼は考えている。「現在のサウジは、異なる宗教や文化背景の人々について学ぶことにとてもオープンになっています。2015年に初めて『Saudis for Peace』の構想を持った時、私は家族や友人たちからの多くの問題に直面しました。ですが構想を守るために私は戦い続け、そして信じることを止めませんでした。」

対話

彼にとっての大きな変わり目がやってきたのは2017年、Misk Foundationが、ニューヨークで開催されたMisk-UNDP ユース・フォーラムの講演者として彼を招待した時だ。アル=ハルビー氏は、Saudis for Peaceを始動するきっかけとなった異宗教間、異文化間における対話、そしてその重要性についてを熱心な演説で発表した。「それは、扉が開いたかのような体験でした。」と彼は語った。

全てを自分だけでやっていくことが不可能になり、彼は理念のため、ソーシャルメディアでの人材採用に踏み切った。以来、彼は成功へと突き進んでいる。彼個人およびSaudis for PeaceのTwitterアカウントには、合計で3万人以上のフォロワーがいる。Saudis for Peaceには現在、アル=ハルビー氏自身に加えて40名のメンバーがいる。

「1人で取り組んでいるつもりでした。ソーシャルメディアで反応をもらって本当に驚きましたが、同時に有難くも思いました。」と彼は述べた。

アル=ハルビー氏にとって嬉しいことに、人々の注目は高まっている。Saudis for Peaceは今年始め、United Religions Initiative(URI)によって公式NGOとして認められ、ライセンスを受けた。アル=ハルビー氏によれば、Saudis for Peaceを現在構成している大多数はスンナ派イスラム教徒だ。「今のところ、約70%がスンナ派、30%がシーア派です。」と彼は述べた。

だが、ありとあらゆる教義、性別、方向性、それに人種を組織では歓迎している、と彼は熱心にコメントした。「私たちは、どんな人も差別しません。私たちは違いを祝福するということを、大切なこととして言及したいと思います。私の言うこと全てにただ同意する人たちだけで、1つの部屋に集いたくはありません。それは間違ったやり方でしょう。」彼は述べた。

しかし彼は、グループでの投票に物事を諮ることもする。緊張感が生まれるかもしれない、と彼が考える状況については特にそうだ。「異宗教間の仕事は、はた目に見えるほど簡単ではありません。ですがそれが私たちの現実で、必要なことなのです。観光客に国を開こうとしているサウジアラビアには、特に言えることです。誰に対しても開放的な環境を作る必要があります。」彼は述べた。

設立以来、Saudis for Peaceは異宗教間の議論を推進するために多数のプロジェクトに参加してきた。中でも最大規模の1つが、「Peace 101」と名付けられたYouTubeの短編ドキュメンタリーシリーズだ。同シリーズは世界の主な宗教を取り上げたもので、全編がアラビア語に翻訳されている。

同組織はまた、宗教の黄金律 — 相互主義の倫理 — をアラビア語へと翻訳した。アル=ハルビー氏が誇りにしている功績だ。

課題を山ほど抱える未だ新しい組織という事実にも関わらず、その将来についてアル=ハルビー氏は楽観的だ。「私は力を持った人間ではありません。無制限の資金も、強力なコネも持っていません。それでも、ゼロからここまでやってくることができました。それは大変なことで、これまでの一瞬一瞬に感謝しています。」と彼は述べた。

Saudis for Peaceの将来に彼が望むのは、寛容、理解、思いやりのメッセージを伝えていくことだ。あらゆる人が探している、平和への答えはそこにある。議論へと自らを開くだけで、全ては始まっていくのだ。

「無知は恐れを招き、恐れは憎しみを招き、そして憎しみは暴力を招く、とイブン・ルシュド(アヴェロエス)が言った通りです。」と彼は述べた。

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