フロリダ州ケープ・カナベラル:NASAは月曜日早朝、新型の月ロケットの試験飛行打ち上げを前に燃料充填を開始した。今回の試験飛行は50年ぶりにカプセル型宇宙船を月周回軌道に送り込む予定だ。
燃料充填作業の開始は雷雨のために1時間遅れた。落雷の危険性が十分に低下したため、打ち上げチームはロケットの燃料タンクへの充填を開始した。この作業の遅延を受けて2時間とされた打ち上げの時間枠がどの程度短縮されるかは不明だ。
ケネディ宇宙センターで打ち上げを待つ322フィート(98メートル)のロケットの先端にあるカプセル型宇宙船「オリオン」に人は乗っていない。代わりに、ベルトで固定されたテストダミーが6週間続く予定の月周回ミッションを行う。
これはNASAがこれまで開発した中で最も強力なロケットであり、その能力は半世紀前に宇宙飛行士を月まで運んだサターンVを上回る。このロケット「スペースローンチシステム(SLS)」の打ち上げを見ようと数千人が海岸に詰めかけた。
打ち上げチームが100万ガロン以上の極低温燃料のロケットへの充填をようやく開始した時、激しい雨が打ち上げ地点を襲った。天気予報では午前中の打ち上げ時間までには晴れるだろうと言っていた。雨だとロケットを打ち上げることができない。
天気以外にも、チャーリー・ブラックウェル・トンプソン氏と彼女のチームはカプセル型宇宙船「オリオン」に関する通信の問題に対処していた。
エンジニアたちは、日曜日遅くに発生した、打ち上げ管制センターとオリオンとの間の通信ラインの11分間の遅延の原因の解明を急いだ。この問題は月曜日の朝までには解決していたが、それが打ち上げ開始前に発生した原因をNASAは明らかにする必要があったのだ。
また、打ち上げチームは燃料漏れが残っている可能性にも警戒していた。今年2回行われたカウントダウンテストでは、燃料漏れだけでなく他の技術的トラブルも発見されたのだ。NASA職員によると、修理箇所についてはカウントダウンの最終段階まで確信を持つことができないという。
NASAの21世紀月探査プロジェクト「アルテミス計画」(神話のアポロの双子の姉にちなんで名付けられた)の第1回飛行は何年も遅れている。度重なる延期により数十億ドルの予算超過が発生している。今回の試験飛行だけでも41億ドルの費用がかかるのだ。
この試験飛行が成功した場合、早ければ2024年に宇宙飛行士が乗り込んだ第2回飛行が行われ月を周回することになる。その後、2025年末までに2人の宇宙飛行士による月面着陸を目指している。NASAは月面の南極を目標地点としている。
アポロ計画では1969年から1972年の間に12人の宇宙飛行士が月面に着陸したが、滞在はわずか数日だった。アルテミス計画では、月面基地を建設して、宇宙飛行士が交代で数週間ずつ滞在できるようにすることをNASAは計画している。その次の段階として、2030年代後半から2040年代前半の有人火星探査を目指している。
AP