
ナジャ・フーサリ
ベイルート:レバノンのダンスグループがテレビのコンテスト番組「America’s Got Talent」で優勝したというニュースは木曜日、国中に歓喜の火花を散らした。
女性だけのダンスグループ、マイヤスは、同コンテストのシーズン17で審査員と観客を魅了し、100万ドルとラスベガスのショーの主役の座を獲得した。
レバノンのミシェル・アウン大統領はメンバーと共にまだアメリカにいる同グループの振付師のナディム・シェルファン氏に電話でこの偉業を祝福した。
さらに同グループにレバノンの功労勲章を授与することを決定したと伝えた。
ダンサー達は予選の段階で「For You Lebanon」(レバノンのために)というスローガンを掲げ、他の10組の候補者と競い合った。
この興奮はソーシャルメディアにも伝わり、祝福の投稿が殺到した。
ツイッターユーザーは、「レバノンが危機に瀕する中で、希望の光だ」「グループは国の誇りだ」とこの成功を賞賛した。
また、外交関係からも祝福の言葉が相次いだ。
在レバノンのEU高官は、ツイッターで「マイヤスは誇りとインスピレーションの源だ」と述べている。
レバノンのサウジアラビア大使ワリード・ブハリ氏は「世界を感動させたマイヤスは、私たちが好きなレバノンのイメージというもの見せてくれた。アラブ世界の宝石であり続ける希少な鳥だ」
一行の旅費は国費で賄われたものではなく、最終的にはダンサーの家族や同伴者が負担したのだが、政治家もメンバーを祝福している。
ナジーブ・ミカティ首相代理は、「レバノンの創造性はマイヤスのまばゆいばかりの演技を通して脚光を浴びた。」と述べた。
フアド・シニオラ前首相は「メンバーはレバノンの指導者達のせいで生じた暗黒と失敗の中から生まれたが、レバノンは才能と創造性に溢れており、能力、誠実さ、忍耐に基づく公平な競争という正しい道を歩むだけで良いことを教えてくれた」と語った。
レバノン外務省は、このレバノンのチームに投票し、支持した米国在住のレバノン人達の喜びを分かち合うと発表した。
モハメド・ウィサム・モルターダ文化相をはじめ、観光省、多くの国会議員や経済関係者も祝辞を述べた。
レバノン軍司令部は、メンバーについて「生命にあふれた明るい国レバノンというメッセージを世界向けて発信した」とツイートしている。
レバノンの若いグループが成し遂げたこの成功は、年寄りの政治家達が引き起こしたレバノン全体の低迷と対照的である。
政治家達がレバノンを経済的苦境から救うための効果的な解決策を見つけられなかったことは、9カ月も承認が遅れている2022年度予算案をめぐる議論がいまだに続いていることを見れば明らかだ。
議会での議論は木曜日に始まり、2日間続く見込みである。
レバノンの2022年度予算は、国際通貨基金(IMF)の救済プログラムの要件を下回る可能性があると、レバノンの交渉チームのある人物が木曜日にロイター通信に語った。
また別の経済の専門家によると、アミン・サラム経済相は、預金者や従業員の権利とその保障基金を無視しているため、IMFがこの予算の数字に満足できるはずがないとを懸念していると述べた。
また、盗まれたり密輸されたりした金の回収や、不正蓄財事件に対する犯罪捜査の継続の重要性も無視されている。
IMFは、融資プログラムに必要となる、既に合意されている改革の実施を「加速」する方法を議論するために、高官がレバノンを訪問すると発表した。
ある金融専門家は、「復興計画が科学的、現実的に熟す前に追加的な税金や手数料を課すことで予算が承認されれば、日用品への補助金の解除や減給につながり、国民を打ちのめすだろう」と述べた。
財政・予算委員会の委員長であるイブラヒム・カナーン議員は、予算委員会において、高い失業率、低い成長率、投資支出への低い配分の中にあって、予算には経済的・社会的ビジョンが欠けていると確認した。
カナーン氏は、ドル為替レートを12,000レバノン・ポンドから16,000レバノン・ポンド、20,000レバノン・ポンドの間で固定する財務省のシナリオでは、必要な輸入品を確保することができないと指摘した。
このため、給与や社会保障、債務返済に充てられる拠出金を輸入でまかなうことができず、不均衡が生じるとカナーン氏は付け加えた。