アラブニュース
ロンドン:国際刑事警察機構(インターポール)は、グローバルな警察活動の支援に特化したメタバースの立ち上げを発表した。
このシステムを使えば、世界中の警察官がフランス、リヨンにあるインターポールの事務局本部を再現した仮想空間で互いにつながることができる。さらに、その空間で、法医学捜査など警察活動に関するさまざまな問題を扱う没入型トレーニングコースに参加することもできる。
インターポールのユルゲン・ストック事務総長は、先週、インドのニューデリーで開催された同機構の第90回総会で、「多くの人にとって、メタバースは抽象的な未来を予告しているように見えるが、それが提起するのは、加盟国が犯罪と闘うのを支援し、、仮想かどうかにかかわらず、住人のために世界をより安全にするというインターポールの活動の動機だ」と説明した。
「私たちは新しい世界に足を踏み入れるかもしれないが、私たちの姿勢に変わりはない」と、同事務総長は述べた。
また、インターポールはメタバース専門家グループの創設も発表し、世界規模で法執行機関の懸念に対応すると明らかにした。
人々が仕事、勉強、買い物、社交のためにメタバースに集まるようになり、「デジタル化のペースが速まるにつれて犯罪はますますネット上に移行している」と同機構は説明し、犯罪者はすでに「メタバースを悪用し始めている」とも指摘した。
メタバースは、仮想現実を介してアクセスする没入型インターネットを示す用語だ。
同じく先週発表されたインターポールの「世界犯罪動向」報告書によると、全加盟国195カ国の法執行官の70%が、ランサムウェアとフィッシング攻撃が今後3〜5年間で増加すると予測している。
同報告書は、犯罪の大半は、サイバー犯罪者がサイバー犯罪の実行に必要なツールや知識を販売する、金銭目的の「サービスとしての犯罪(CaaS)」であろうと示唆している。一方で、「実際の世界で犯罪とされる行為が仮想世界で行われた時に、必ずしも犯罪と見なされるわけではないため」、仮想世界での有害な行動は特定の法的課題をもたらすと警告している。
「メタバースのユーザー数が増加し、技術がさらに発展するにつれて、起こりうる犯罪のリストは拡大し続け、子どもに対する犯罪、データ窃盗、マネーロンダリング、金融詐欺、偽造、ランサムウェア、フィッシング、性的暴力や性的な嫌がらせも含まれるようになる可能性がある」とも指摘する。
インターポールは、仮想環境におけるガバナンスに焦点を当てた、世界経済フォーラムのイニシアチブ「メタバースの定義と構築」にも参加していると述べた。。Meta、Microsoft、Mastercardや、Animoca BrandsやDecentralandなどのWeb3企業数社も同イニシアチブに関与している。
インターポールのテクノロジー&イノベーション担当エグゼクティブディレクター、マダン・オベロイ氏は、「メタバースは、私たちの日常生活のあらゆる側面を変革する可能性を秘めており、法執行機関にとっても大きな意味を持つ」と述べ、「しかし、警察がメタバースを理解するためには、メタバースを体験する必要がある」と指摘した。