現代人の「魂の救済」をテーマに文学的な思索を重ね、日本人で2人目のノーベル文学賞を受賞した作家の大江健三郎(おおえ・けんざぶろう)さんが3日、老衰のため死去した。88歳だった。後日お別れの会を開く予定。
愛媛県大瀬村(現内子町)生まれ。東京大仏文科在学中に作家としてデビューし、1958年に「飼育」で芥川賞を受賞した。戦後民主主義世代の文学の旗手となり、右翼少年の内面を描いた「セヴンティーン」(61年)などで注目された。
知的障害を抱えた長男光さんの誕生が転機となり、64年に「個人的な体験」を発表。67年、故郷の奥深い森を舞台に人間の再生を描いた小説「万延元年のフットボール」で谷崎潤一郎賞を受賞した。
94年、ノーベル文学賞を受賞。日本人作家としては、68年の川端康成以来の快挙となった。
時事通信