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サウジの女性空手選手がUAEの大会で新たな壁を破る

UAEのシャールジャで2月2日に開幕した第5回アラブ女性スポーツ・トーナメントにサウジの女性空手チームが初めて出場した様子は、テレビで放送される予定だ。(ANフォト/フダー・バシャータフ)
UAEのシャールジャで2月2日に開幕した第5回アラブ女性スポーツ・トーナメントにサウジの女性空手チームが初めて出場した様子は、テレビで放送される予定だ。(ANフォト/フダー・バシャータフ)
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10 Feb 2020 10:02:36 GMT9
10 Feb 2020 10:02:36 GMT9
  • 4人の女性空手選手がジェッダに拠点を置くアジア武道護身クラブの代表となった
  • リヤドの別のチームもアラブ女性スポーツ・トーナメントに参加する

モハメド・アル・キナーニ

ジェッダ:サウジ女性の武道の技術は、遠からずテレビで取り上げられることになるだろう。UAEのシャールジャで2月2日に開幕した第5回アラブ女性スポーツ・トーナメントにサウジの女性空手チームが初めて出場した様子は、テレビで放送される予定だ。

4人の女性空手選手がジェッダに拠点を置くアジア武道護身クラブの代表となり、リヤドの別のチームも参加している。

「私たちは2ヶ月近く前にトーナメントの準備を開始しました。全ての格闘種目に参加する選手のためにできることは全てやりました」と、アジア武道護身クラブの管理人、アラ・アル・シャリフが語り、サウジ空手連盟が多大な支援をしてくれたと付け加えた。

サウジの空手家で、キング・ファハド総合病院で精神分析医として働くナダ・アル・マシャットは、家族からの勧めで空手を習うことになったと語った。

「賢い指導者のおかげで、我々は健全なスポーツ環境を利用できるようになりました。これは我々にとって最大の支援です。サウジ空手連盟も、男女問わず地元の選手を支援してきました」と、彼女は語った。

スルタン・ビン・サルマン王子が宇宙ミッションに選ばれたことは、自分にとって刺激となり、サウジの人間に不可能なことはないと確信したと、アル・マシャットは語った。

「王子の宇宙での経験を見て、私は野心で満たされ、何か国のためにしたいという決意を固めました。私にはどんな夢でも叶えることができると感じました。母国の名前を国際的なレベルにまで高めるために、私は空手を選んだのです」と、アル・マシャットは付け加えた。

両親の支援があったとはいえ、社会の人の中には、女性がスポーツをするのを目にするのを好ましく思わない人もいると、彼女は指摘した。

「私の決定を良く思わない人も中にはいるだろうと、私は予想していました。女性にとってのスポーツの重要性が十分に理解されていないのですから、これは当たり前のことです。空手は、自律、品位、粘り強さ、尊敬などの崇高な価値を教えてくれます」と彼女は付け加えた。

アル・マシャットは、日本文化への興味が、日本語を学ぶ後押しになったと語った。

「私は『空っぽの手』という『空手』という言葉の意味にとても魅了されました。武器ではなく自分の内側に秘められた力に頼ることができるのだと、私は気づいたのです。この意味は、自分が人間であると同時に武器にもなれるのだという印象を与えてくれたのです」と彼女は語った。

幼い時に得たこの考え方は、彼女の学術的成長も決定付けることになった。

https://youtu.be/GNVdy8NIUMQ

「私の修士論文は、注意欠如・多動症を抱えた子どもに対する武道の影響に関するものです。研究結果は私にとって、武道スポーツ文化を広げる後押しになりました」と彼女は語った。

一方、キング・アブドゥルアズィーズ大学助教のサラ・フセイン・ムフタルは、松濤館流として知られる様々な武道から発展した空手のスタイルを14年ほど前に始めたと語った。彼女は、オーストラリアに旅立ち、立って戦うフルコンタクト・スタイルの格闘技、極真を始めるまで、このスポーツをしていた。

「私は黒帯2段を取得し、サウジアラビアに戻り、ここで娘の稽古を始めました」と彼女は語った。

ムフタルは、最初に直面した壁は、ジェッダで女性向けの適切な稽古場を見つけることだったと語った。

「もう1つ大変だったのは、空手や武道一般が女性に向かないものではないということを人々にわかってもらおうとすることでした。実際には女性が自分の身を守り、自信を持ち、自分で力を得ることに役立ちますし、自分の身体の仕組みを傷つけることもない、女性にとって本当に多くのメリットがあるものなのです」。

空手のおかげで自信を持つことができ、強くなれ、あまり一般的ではないサウジアラビアで極真やこの種類のスポーツの知識を広める責任を感じることができたと、彼女は語った。

「ですが、私は、いじめられたり、襲われたりした時に自分の身を守れることを第一の目的として女性や子どもに空手を教えているわけではありません。空手は自分の健康に良いことをまず理解してもらいたいと考えています。自分の専門性から言うと、空手は、正しい伝統的な方法で、指導を受けながら稽古すれば、自分の疾患や病気に対処するのに役立つ場合があります」とムフタルは語った。

トーナメントに向けての準備で、ムフタルは、毎日3時間から4時間稽古していると話した。

「私たちは国のために何か成し遂げることができるのではと希望を抱いています。私は数々の大会に参加しましたが、チームで参加するのは今回が初めてで、本当に嬉しく思います。上手くやって、皆を幸せにできればと願っています」と、チュニジアで開催された第10回アラブ極真空手退会の銅メダリストのムフタルは語った。

サウジチームのエジプト人コーチ、ハレド・アナーニは、稽古に関しては男性と女性の格闘家の間で違いはないと語った。

心理学的な違いはあるとはいえ、男性のアスリートも女性のアスリートも、皆人間なのですから、同じです。どちらも、激しい闘いをする上での同じ資質を備えています。全能の神は生存競争のために人を造ったのです。クルアーンで神はこう言っています:「本当にわれは,人間を最も美しい姿に創った」。神は人間を男性とは言っていないのです。人間、つまり、男性と女性です」と、アナーニは語った。彼女も2013年の空手世界大会で3位に輝いている。唯一違うのは、筋肉量の大きさだけだと、アナーニは付け加えた。

トーナメントに参加しているサウジのもう1チームのメンバーは、キングファイサル専門病院&研究センターの看護部長、ザイナブ・アル・アンサリだ。

彼女のヨルダン人の夫、ワーシム・マゼンは、彼女が夢を叶えるのをサポートしている。マゼンは2002年から2007年まで、サウジアラビアの空手チャンピオンだった。

アル・アンサリは、父親が空手を勧めてくれたと話した。彼女は子どもの頃にタフなスポーツを学び始めた。

「高校を卒業した後、私は空手の練習を辞めました。空手のチャンピオンと結婚するまで勉強と仕事に集中していたのですが、彼に促されて、空手に戻りました」と、アル・アンサリは語った。

彼女はいくつかの困難には直面したものの、何とか乗り越えることができたと付け加えた。

「経験した中で最も大変だったのは、稽古ができる女性向けのクラブがなかった時です。これは今では変わってきていて、時間と共にどんなこともより良くなっていくことが望まれます」と、彼女は語った。

アル・アンサリは、社会の女性に対し、護身スポーツをするよう促してきた。空手をやれば、もっと自分自身を理解できるようになるからだ。

ジェッダのキングファイサル専門病院&研究センターの看護部長、ザイナブ・アル・アンサリは、空手のおかげで、医者はより広い心を持てるようになると言う。

「女性が学生であれ、社員であれ、私は空手などの護身スポーツを学ぶことを非常にオススメします」と、彼女は話した。

女性にとって空手は、一部の人が考えるような完全な自由を意味するものではないと、彼女は付け加えた。

「自由とは心の中にあります。空手のおかげで、広い心を持てるようになれるかもしれません。また、空手を練習するのは、責任を持つことです。その意味で、空手家はより責任ある人間になることができるでしょう。これこそまさに空手が私に与えてくれたもので、今はより、意思決定や、自分の周りの物事に賢く前向きに反応することにより意識的になれていると感じています」と彼女は語った。

夫のマゼンも、サウジの女性にはついに自分たちの時代が来たとコメントした。彼女たちの多くが、与えられるチャンスを活用し始めているという。

「女性たちは今、地域の大会や世界大会で国の代表になり、必要な経験を得ることができます。成績においても質的飛躍が起き、熱心に学び、改善し、自己投資をすれば、様々な大会で容易に闘うことができます」と、マゼンは話した。

この大会の主な目標は、選手たちをトーナメントの雰囲気に触れさせ、幅広いオリンピックの経験を有する他の選手から学ぶチャンスを与えることだと、彼は語った。

「このようなトーナメントに女性選手が参加するのは初めてなので、我々の目的は、選手たちが可能な限り豊富な知識と経験を積んで国に戻ることなのです」と、彼は話した。

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