
東京:コロナ禍の際に休場を申し出たことを理由に引退を余儀なくされたとして日本相撲協会を提訴している元力士が31日、相撲界の隠蔽体質を変えたいと思い公の場に出たと語った。
柳原大将(だいすけ)さん(25)は2021年1月に師匠に対し、東京でコロナ感染が拡大しているため東京場所を休場したいという意向を伝えた。
15歳の時に相撲を始めた柳原さんは、数年前に心臓の手術を受けており、コロナに感染した場合の自身の健康へのリスクが心配だと話した。
師匠と日本相撲協会は彼に2つの選択肢を与えたという。「出場するか、引退するか」だ。
「絶望しました」と、柳原さんは31日の記者会見で語った。彼の弁護団によると、2020年5月に1人の力士がコロナで亡くなっている。
柳原さんは、もし自分が入院すれば母親に負担をかけることになるから、引退する「以外の選択肢はない」と思ったという。
彼は今年3月、当時の師匠と相撲協会に対し約415万円(2万9000ドル)の損害賠償を求める民事訴訟を起こした。
柳原さんはまた、彼のような格下の力士は稽古中に腐った肉などを頻繁に食べさせられたと訴えた。
2013年には、先輩力士から踵に鉄のついた雪駄で繰り返し殴られたという。
彼は、「自分の経験を語ることで、伝統文化という名の下で黙認されてきた相撲界の現状を世間に知ってもらいたい」と話した。
AFPは31日に日本相撲協会に問い合わせたが、コメントは得られなかった。
古来からのスポーツである相撲は近年、八百長疑惑、組織犯罪への関与の疑惑、薬物による逮捕、激しいいじめ(最も酷い事例では2007年に十代の力士が亡くなっている)など、一連の不祥事にまみれている。
しかし、現役力士や元力士が相撲界を公に批判したり法的手段を取ることは依然として稀だ。
AFP