
ワシントン:米航空宇宙局(NASA)が14日、UFO調査に正式参入した。しかし、この分野に着せられた汚名を反映してか、NASAは謎の飛行物体を追跡調査する新プログラムの責任者について、その名前を数時間明かさなかった。
今回新たに責任者が任命されたのは、NASAが「未確認航空現象(UAP)」と呼ぶものに関して、1年間にわたる事実調査報告を行った結果である。
同局のビル・ネルソン長官は、「NASAでは、探求すること、そして、物事の理由を問うことがDNAに組み込まれている」と述べた。
16人の研究者を擁する独立チームは報告書を発表し、UAP調査は「厳密かつ証拠に基づいたアプローチが要求される」と結論づけた。
NASAは、衛星機能やその他の技術的資産を利用できるため、重要な役割を果たすのに適した立場にある。しかし、同局は報告書の中で、地球外を起源とする可能性があるいかなる発見であろうとも、「それは最後に残された仮説であり、全ての可能性を排除した後でのみ到達する答えでなければならない」と強調した。
「UAPに関する話題をセンセーショナリズムから科学に移行させたい」とネルソン長官は語った。
NASAは当初、プログラム責任者の名前を非公表としていたが、14日の夕方になって態度を緩め、最新のプレスリリースの中でマーク・マキナニー氏をUAP調査の責任者に任命したと発表した。
1996年から政府の役職に就いているマキナニー氏は、UAPの問題についてNASA側の連絡役を務め、国防総省との調整を行ってきた。
NASAは長きにわたって空を探索してきたものの、世界各地で報告件数が増えている原因不明の飛行物体に関して、その起源や正体、目的などを突き止める作業は、前例の無い課題をもたらしている。
軍や民間のパイロットは、数多くの奇妙な目撃情報を報告し続けている。しかし、宇宙人を取り扱った映画やSF本が何十年にもわたって世に送り出されているということは、この話題が奇妙な領域として、世間からは笑いものにされることが多いことを意味している。
こうした雰囲気があるのだから、NASAが当初はUAP調査の責任者名を伏せるという、異例の決定をしたこともうなずける。
今回の発表につながるNASAの報告書を手掛けたダニエル・エヴァンス氏は、「科学的なプロセスと方法が自由であるよう保証する必要がある」と主張した。
同氏によれば、「一部の脅迫やハラスメントは、率直に言って度を越していた」のだという。
報告書の執筆者らは5月に、これまでの27年間で800件を超える「現象」が収集されており、そのうちの2~5%は異常の可能性があると考えられると述べた。
これらは「オペレーターやセンサーが容易に理解できないもの」や「奇妙な何かを行っているもの」として定義されていると、チームメンバーのナディア・ドレイク氏は話す。
米国政府は近年になって、UAPの問題をより真剣に捉え始めているが、その一因には、海外からの偵察行為が絡んでいるのではないかという懸念がある。
まだ解明されていない現象の一例としては、中東のある非公開の場所で、MQ-9ドローンが飛行する金属製の球体を発見したことなどがある。このUAPに関する映像は、4月に議会で公開された。
NASAの調査は非機密資料を基にしており、国防総省が並行して進めている調査とは異なるが、両当局は科学的なツールや手法をどのように適用するかについて調整を行っている。
7月には、米国の元情報局員が議会の委員会に出席し、政府は未確認の異常な物体とそれを操作していた宇宙人の遺体を所有していると「完全に」信じていると発言し、話題となった。
「私の証言は、この国に対する正当性と貢献について長年の実績を持つ方々から得た情報に基づいており、その多くとは写真、公式文書、機密の口頭証言という形で説得力のある証拠も共有している」と、デビッド・グラッシュ氏は述べた。
今週初めには、「人間ではない」生き物とされる遺体が2体、メキシコ議会の公聴会で公開され、驚き、疑念、嘲笑などの入り混じった反応がソーシャルメディア上を駆け巡った。
このミイラ化した遺体とされるものは、灰色がかった色に人間のような体型をしており、論争の的となっているメキシコ人ジャーナリスト兼研究者のハイメ・マウサン氏が、2017年にペルーで発見したと報告し、持ち込んだものだった。
AFP