
政府は、日本との対話に条件付きで応じる考えを示したロシアのプーチン大統領の発言について、静観する構えだ。ウクライナ侵攻を続けるロシアに対し、先進7カ国(G7)を中心に制裁を行っており、プーチン氏の発言は「G7議長国の日本を揺さぶる狙い」(外務省関係者)とみているためだ。政府は6日、G7の結束を優先し、対ロ制裁を継続する方針を示した。
プーチン氏は5日、ロシア国内で開かれた国際情勢をテーマにした会議で、日本による制裁解除などを条件に、対話に応じる考えを示した。ロシア訪問から帰国した日本維新の会の鈴木宗男参院議員は6日、国会内で記者団に「対話の用意があると言ってくれただけで、私がロシアに行ったかいがある」と歓迎した。
これに対し、上川陽子外相は6日の記者会見で「G7、国際社会と連携しつつ、今後も厳しい制裁など外交的取り組みを進める」と強調。外務省関係者は「G7の結束を乱す行動は取らない」と語った。
対ロ制裁によって、北方領土元島民の墓参や、北方四島周辺での日本漁船の操業に関する日ロ交渉は中断したままだ。日本側には「北方四島の交流事業再開は、日ロ関係の中でも最優先事項の一つだ」(自見英子沖縄・北方担当相)との声もある。
これに関し、松野博一官房長官は会見で「日ロが隣国として対処する必要のある事項は、何が国益に資するかとの観点から適切に対応していく」と述べた。
JIJI Press