
イスラエル軍のパレスチナ自治区ガザへの侵攻が激しさを増す中、日本国内に住むイスラエルやパレスチナ出身者は故郷の家族らを思いつつ、それぞれの立場から平和を願っている。
パレスチナ出身で、東京都内の大学院で建築を学ぶジョブラーン・アフマドさん(28)は「イスラエルは一刻も早く攻撃をやめてほしい。パレスチナ人とイスラエル人双方が尊厳を持って生活できる世界を望んでいる」と力を込める。
ジョブラーンさんは、ヨルダン川西岸地区南部のヘブロンで17歳まで過ごした。イスラエル軍に家を破壊されたり、同級生の家族を殺されたりした経験もあり、「知り合いが殺されるのは日常だった。今ガザで起きていることは子どもの時の経験と同じだ」と憤る。
今もヘブロンで暮らす家族とは1日に2~3回、電話でやりとりをしている。明るい話をするよう心掛けているが、最近もイスラエル軍の銃撃で親族が亡くなり「次は自分の家族かもしれない」と不安を感じているという。
増え続ける死者の数だけが注目されることに「殺された人はただの数字ではない。亡くなった一人ひとりに家族がいて、残された人は永遠に苦しみと生きていくことになる」と語り、一刻も早い停戦を願った。
一方、京都大で研究員を務めるイスラエル人女性(45)は「イスラエル人はテロの恐怖の中に生きている」として、同国の現状にも目を向けるよう訴える。
ガザでの戦闘激化を受け、国内では毎日のようにテロが起きているという。エルサレム近郊には女性の母が住んでおり、「いつ殺されてもおかしくない状況だ」と不安を口にする。パレスチナの支援デモが行われる日本では「孤独を感じる」といい、「イスラエルにも人道支援が必要なことが十分に理解されていないようだ」と嘆いた。
女性はウクライナで生まれ、その後イスラエルに移住。旅行で訪れた日本を気に入り、来日した経緯がある。ロシアの侵攻が続くウクライナや母国の現状に「心を痛めている。心配で夜も眠れないほどだ」と沈痛な面持ちで語った。
JIJI Press