



ジェッダ:シリアのバッシャール・アサド大統領は21日、2004年以来となる中国訪問を開始した。西側諸国からの制裁による10年以上の外交的孤立からの脱却を図るための最新の試みだ。
アサド大統領は濃霧の中、中国国際航空の飛行機で中国東部の杭州市に到着した。中国国営メディアは、この霧が「謎めいた雰囲気を強めた」と伝えた。アサド大統領による中国訪問は、2004年に胡錦濤国家主席(当時)と会談して以来となる。その時の訪問は、1956年の両国の外交関係樹立以降初めてのシリア国家元首による中国訪問だった。
中国は、シリアの主要な同盟国であるロシアおよびイランと同様に、他国がアサド政権を孤立させる中でもシリアとの関係を維持した。孤立のきっかけは、同政権が2011年に発生した反政府デモを暴力的に弾圧したことだ。この弾圧は内戦に発展し、約50万人の死者と数百万人の難民を出すとともにシリアのインフラや産業に打撃を与えた。
アサド大統領は23日のアジア競技大会の開会式に出席した後、代表団を率いて中国国内の数都市で会合に参加する。
22日には習近平国家主席と会談する。
中国の国家主席と会談する姿を示すことは、世界の舞台への復帰をめざすアサド大統領のキャンペーンの正当性を高めるものとなる。
シリアは2022年に中国の「一帯一路」構想に参加した。今年5月にはアラブ連盟への復帰を果たしている。
経済危機に直面し、アラブ諸国との関係再構築の努力の成果も今のところほとんど見られない中、アサド大統領は財政支援を切望している。
しかし、中国などによるシリアへの投資は、シリアと取引した者の資産を凍結できるとした2020年の「シーザー法」のもとでの米国の制裁に対する違反となる恐れがある。
シンガポールのリー・クアンユー公共政策大学院のアルフレッド・ウー准教授は次のように指摘する。「3期目に入った習近平主席は公然と米国に挑戦しようとしているため、アサド大統領のような指導者を歓迎することは驚きではないと思う」
「中国が世界でさらに除け者扱いされることになるだろうが、彼はそんなことは気にしない」
今回の訪問は、中国が中東への関与を拡大する中で行われている。
中国は今年、サウジアラビアとイランの間の国交再開合意を仲介した。
この緊張緩和に続き、5月にサウジアラビアで開催されたアラブ連盟首脳会議においてシリアの同連盟復帰が決定され、地域における10年以上の孤立に終止符が打たれた。
アナリストらは、アサド大統領による中国訪問では復興資金が焦点の一つとなるとみている。
ロンドン大学東洋アフリカ研究学院中東研究所所長のリナ・ハティブ氏は次のように指摘する。「アサド大統領はこの中国訪問で、自身の体制には国際的正当性があるという印象をアピールするとともに、中国による将来的なシリア復興支援のイメージを描くことを意図している」
シリアは2022年1月、中国の壮大な貿易・インフラ構想「一帯一路」に参加した。
ロンドンのシンクタンク「王立国際問題研究所(チャタムハウス)」のハイド・ハイド氏は、アサド大統領と習主席の会談は「シリアの経済復興を援助するよう中国を説得することが中心となると予想される」と指摘する。
中国は2017年にシリアへの20億ドルの投資を約束したが、ハイド氏によると「まだ実現していない」という。
(各報道機関の記事より)