

東京:コロナウィルスによる危機的状況の中、東京オリンピックを開催することについて競技選手たちが声を上げ始めたことを受け、棒高跳びのオリンピックチャンピオン、エカテ リーニ・ステファニディ選手は、スポーツ選手たちが健康上のリスクを強いられていると発言 した。
国際オリンピック委員会(IOC)が、7月24日から予定通り東京オリンピックを開催するよう「全面的に準備を進めている」と述べたことを受け、ステファニディ選手と英国の陸上選手カタリーナ・ジョンソン・トンプソンの両者が懸念を表明した。
IOCメンバーの一人は同委員会の姿勢について「配慮に欠け、無責任だ」と言い、競技選手たちはウィルス危機の只中でトレーニングを行いながら「不安と失望」に直面している、と語った。
ギリシャで最も著名なステファニディ選手は、ギリシャ内区間での聖火リレーがCOVID-19騒動で取りやめとなる前までは、セレモニーとして日本の主催者側へ聖火を手渡す役割を務めることになっていた。
「IOCは、我々選手が日々トレーニングをすることによって、自分自身とその家族、そして一般市民の健康へのリスクを冒し続けてほしいのでしょうか?」と彼女はツイートした。
「あなた方は、4ヶ月後ではなく今日この時にも私たちを危険な状態に置いているのです。」
3月17日(火)、IOC が声明を出す直前にユーロ2020サッカートーナメントの1年延期が決まった。ヨーロッパを麻痺させ、海外渡航が大幅に削減させたコロナウィルスを警戒しての決定だ。
中止や延期となったスポーツイベントの中にはオリンピック予選トーナメントも含まれており、今のところたった57%の選手しか選抜されていない。
「信じられません」とステファニディ選手は言う。「一緒にトレーニングする必要のある チームスポーツはどうなるのですか?水泳は?同じ器具を共有する体操選手は?」
「彼らは今現在我々に科しているリスクのことを全く考慮していません。」
世界的陸上チャンピオン、ジョンソン・トンプソン選手は、IOC が選手たちに向かって「最善を尽くして」トレーニングを行うように言っていることを非難し、それは政府による厳重な保健対策と矛盾するものだと言う。
「トレーニングをし、同じ日課を続けるようプレッシャーをかけられている思いです、そんなことできっこありません」と彼女はツイッターに書いた。
「最終的な期日はともかく、準備の方もすべてが変わってしまい、今シーズンを迎えるのは困難です」とジョンソン・トンプソン選手は言い添えた。
最初中国で始まった大感染がアジアへ広がり、その後世界中へと拡散して現在約20万人が感染し、7,900人の死者を出している中、オリンピックを予定通りに開催することについての疑問はますます高まってる。
3月18日(水)、東京における体操のオリンピック予選が、テストイベントとしても開催が予定されていたのだが、キャンセルが決まった。
その前日、日本オリンピック委員会副会長がコロナウィルスのテストで陽性反応が出たと報告した。
しかしIOC は「現段階では大きな決定を下す必要性はない」と主張し、「現時点ではいかなる憶測も非生産的だ」と述べた。
アイスホッケーで4つの金メダルを獲得したカナダ人のIOCメンバー、ヘイリー・ウィッケンハイザーはこう警告する:「この危機はオリンピックよりも大きいものです。」
「一人の競技選手として考えれば、選手たちが今現在感じている不安と失望を想像してできるだけ声を上げる努力をするしかないのです」と彼女は声明の中で述べている。
「施設が閉鎖となり、予選イベントが世界中でキャンセルされている今、明日どこへ行ってトレーニングをすればいいのかわからないという先の見えない状況は、オリンピックのために生涯トレーニングを積んできた人間にとっては悲惨なことです。」
ウィッケンハイザーはさらにこう言った:「このまま開催方向でいくとあれほど確信をもって主張するIOCは、人間として配慮に欠け、無責任だと思います。」
中距離走者ジェス・ジャッドもまたトレーニングに関するIOC のアドバイスについて非難し、一方同じ英国のトラック競技選手ガイ・リアマンスもオリンピックは延期するべきだとガーディアン紙に語っている。