政府は、人工知能(AI)が人間の判断を介さずに敵を殺傷する「自律型致死兵器システム(LAWS)」について、人が関与しない兵器の国内開発を否定し、国際的にも認めるべきではないとの見解をまとめた。新興技術の軍事利用には人が関与すべきだと強調。国際的なルールづくりに積極的に貢献する方針だ。
上川陽子外相は28日の記者会見で「人道と安全保障の視点を勘案したバランスの取れた議論を通じ、国際社会で広く共通の認識を得ることができるよう取り組む」と語った。
国連は各国に対し、LAWSに関する見解をまとめるよう要請。日本は5月下旬に提出していた。国連のグテーレス事務総長は今夏にも各国の見解を集約した報告書を公表する予定だ。
日本政府の見解は、新興技術の軍事利用について「人間中心の原則を維持し、予見可能性を確保し、責任ある形で行われることを重視する」と明記。人が関与しない兵器は、一般市民に想定外の被害をもたらす懸念があると指摘した。
日本として「人間の関与が及ばない完全自律型の致死性を有する兵器を開発する意図はない」との立場を表明。「開発、使用は国際的にも認められるべきではない」と主張した。
一方、人の関与が確保された兵器については、「ヒューマンエラーを減少し、省力化、省人化といった安全保障上の意義を有する」と、メリットを記した。
時事通信