
安倍晋三首相が全世帯に布マスク2枚を配布すると表明したことについて、与野党からは2日、疑問の声が相次いだ。発表が1日だったことから、「エイプリルフールの冗談かと思った」などの声も上がった。
立憲民主党の福山哲郎幹事長は記者団に「経済対策について国民へのメッセージが遅すぎる。マスクだけでは国民の不安は払拭(ふっしょく)できない」と批判した。
国民民主党の玉木雄一郎代表は取材に「エイプリルフールの冗談かと思った。布マスクより現金を配るべきだ」と強調。同党の増子輝彦参院議員はツイッターで「『お友達』の会社で作製しているのか? 届いたら記念品として永久保存しよう」と皮肉った。
共産党の志位和夫委員長は記者会見で「医療や介護の現場もマスクが不足している。どう手当てするか示さずに2枚というのは、本気で(対策を)やる気があるのか」と非難した。
自民党も同様だ。石破派幹部は「ポピュリズムの権化のような政策だ。検査キットの開発や医療の整備に充てる方がよっぽど有益だ」と指摘。岸田派中堅は「2~3週間前にはできた。政府の対応は後手後手だ」と語った。
これに対し、首相は2日の衆院本会議で「急拡大するマスク需要の抑制を図り、国民の不安解消に少しでも資するよう取り組む」と狙いを説明。菅義偉官房長官は会見で「店頭にマスクがないという声が多い」と述べた。
時事通信社