
先進7カ国(G7)の財務相・中央銀行総裁は14日夜(日本時間)、テレビ会議を開き、新型コロナウイルス感染拡大への対応策を議論した。議長総括によると、世界経済の安定に向けた短期的な追加策を検討することで一致。国際通貨基金(IMF)などを通じた開発途上国への融資制度の拡充や債務の返済猶予といった資金支援を行う方針も確認した。
議長総括は、現在のコロナ危機が「前例のない試練」と指摘した上で、「異例かつ国際協調的な対応が極めて重要だ」と強調。途上国を念頭に「大規模な資金・技術支援が必要だ」と訴えた。
会議では、中国などを加えた20カ国・地域(G20)の財務相・中銀総裁会議が15日に開かれるのに先立ち、G7としての考え方を共有。人やモノの移動制限に伴い需要が減退する中、各国の政策対応や世界経済の動向に関して意見を交わした。経済活動への影響を可能な限り抑えつつ、その後の力強い回復の基盤を整えていくため、G7各国で足並みをそろえて対応することでも合意した。
日本からは麻生太郎財務相と黒田東彦日銀総裁が出席。麻生氏は、政府が7日に決定した事業規模108兆円の緊急経済対策を説明した。
財政や医療体制が脆弱(ぜいじゃく)な途上国を起点としたさらなる感染拡大を防ぐには、国際社会の支援が不可欠。IMFによる融資拡充に向けた財源確保に加え、途上国に多額の貸し付けをしている中国など新興国を巻き込み、返済猶予に道筋を付ける必要がある。会議終了後に記者会見した麻生氏は「(G7では)おおむね合意している」と述べた。
今回の会議は当初、米国で開催予定だったが、テレビ会議方式に変更された。会議の議長はムニューシン米財務長官が務めた。
時事通信社