
検察官の定年引き上げ法案に対し、このコロナウィルス危機の最中に非民主的かつ時期的に不適切だとして、有名人や評論家たちがソーシャルメディア上で日本の安倍晋三首相に対し、相次いで抗議の声を上げている。
評論家たちは、そうした動きは行政当局が重職にひいきの人間を長くとどめさせることにつながり、検察官の独立性を損なわせる可能性を生むと懸念する。特に安倍首相は、コロナウィルスのパンデミックに対する対応の遅さと不手際について非難されている渦中にそのような動きに出ることについて、怒りをあおっている。
5月11日(月)の日経新聞に掲載された調査によると、アンケート回答の55%がコロナウィルス危機に対する安倍首相の対応ぶりを非承認としており、前回の調査から11%高くなっている。一方、安倍政権への支持率については、今年に入ってから49%に低下したまま今回もほとんど変化はなかった。
「コロナウィルス禍の最中にあり、今我々は国民の生活に主眼を置くべきだ」と著名演出家の宮本亜門がツイッター上で発言しているが、あるメディアによると、この週末には同様のメッセージがリピートを含めて470万以上投稿されたという。
「明らかに民主主義から切り離された法案を無理やり可決させるなら、それは日本の悲劇となる」国会は、検察庁官を除く検察官の定年を63歳から65歳へ引き上げ、内閣の承認があればさらに役職定年を延長できるという内容の法案について議論を行っている。
「自身の保身のために法や政治を歪曲しないでいただきたい」俳優の井浦新はツイッターしている。「この国を破壊しないでください」
安倍首相は国会内の変更について、高齢職員の「豊かな経験と知識の完全利用」を実現することを目的とする他の公務員関係の変更と足並みをそろえるものだと述べている。
さらに首相は、「(改正法が)国会による独断の人事決定につながるという論点は誤っている」と言う。今年安倍首相は、東京地方検察庁官が63歳を迎えた後もその地位にとどまることを許可した際に、ほぼ初めての異例とみなされ、非難を受けた。
「この立法は三権分立を明らかに崩壊させることになる」と無所属の政治アナリスト伊藤惇夫は言う。「我々がコロナウィルスの不安に直面しているこの緊急時に、国会が大慌てでこの法案を可決しようとしていることに対して、国民は怒っている」
日本は他国のような爆発的感染急増は経験しなかったが、国営放送局NHK によれば、5月11日(月)正午までの統計で、確認感染者数15,847人、内死者数633人となっている。
このパンデミックは日本経済へ壊滅的打撃を与え、日本の中央銀行員の間では、ほぼ大恐慌並みの経済不況だと取りざたされている。5月11日(月)、安倍首相はさらなる迅速な経済刺激策を約束した。