
陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」配備計画の停止を受け、政府は既に米国と契約済みの1787億円の扱いについて、米側と協議する方針だ。国内事情を優先させて解約を求める日本に対し、米側が厳しい態度に出てくることは必至で、難しい交渉が待ち受ける。
防衛省は陸上イージス導入の総経費について、1基1260億円の本体費用や教育訓練費、維持管理費を含め4504億円を見積もっていた。うち1787億円は契約済みで、イージス・システム情報の取得費など125億円は既に米国に支払いを終えている。高性能レーダー「SPY7」も、契約額350億円のうち65億円を支出した。
米政府からの有償軍事援助(FMS)の約款上、購入国側の日本が契約を解除することは可能だ。その際、「契約解除に起因する費用は購入国側が責任を負う」との規定があるが、どこまでを「解約に起因する費用」と認定するかは「今後の協議次第」(防衛省)という。
米国との協議と並行し、防衛省はSPY7レーダーを海上自衛隊の護衛艦に転用可能かどうか検討する。河野太郎防衛相は16日の衆院安全保障委員会で、陸上イージスに代わり、イージス艦による警戒態勢の増強も選択肢と表明。「陸上イージスのシステムを(護衛艦に)搭載することもできる」と答弁していたが、技術的な検討作業はこれからだ。
JIJI Press