
東京・銀座の地下に、太平洋戦争当時の空襲跡が眠っている。東京メトロ銀座駅ホームの改修工事中、1945年1月27日の「銀座空襲」の被害を修復した跡が見つかった。専門家は「地下に残っているのは珍しく、爆撃の威力を示している」と話している。
銀座空襲では、米軍が午後2時ごろ、銀座一帯を爆撃。500キロの爆弾が銀座駅の上に落下し、浅草方面のトンネルが破壊された。当時の記録で死者は539人。3月10日の東京大空襲以前、工場を中心に狙われている中でのことだった。
東京メトロによると、2017年に始まった同駅の工事で、浅草方面の最後方の壁の化粧板を外したところ、ホームとトンネルとの境界に高さ約3メートル、横約5メートルにわたり、鉄骨で補強しコンクリートで固めた壁が露出した。空襲でできた穴をふさいだ可能性が高いという。
東洋初の地下鉄として1927年に浅草―上野駅間で開業した銀座線。34年に供用開始した銀座駅は地下9.3メートルにある。
東京大空襲・戦災資料センターの石橋星志さん(38)は「首都の中でも誰もが知る銀座が被害に遭っただけに、当時大きな衝撃を与えた」と説明。「地下にまで被害があったのが分かる。今でも使用されている場所で、改めて現場証拠を見ることができる非常に貴重なものだ」と指摘した。
東京メトロは修復跡の保存も検討したが、設計通りに新しい化粧板を設置すると、空襲跡はほとんど見えなくなった。修復された部分を解説できる資料が社内に存在せず、安全に見学できる空間も確保できないという。
石橋さんは「現物を見せるのが難しいとしても、パネルなりで身近な場所にも空襲があったことを伝えることを検討してほしい」と訴えた。
JIJI Press