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黙っていないで:22歳の女性がどのように東京五輪組織委員会の会長を辞任に追い込む力となったのか

22歳の日本の大学生、能條桃子さんは東京五輪組織委員会の森喜朗会長に反対するネット上での運動を開始した。(ロイター通信)
22歳の日本の大学生、能條桃子さんは東京五輪組織委員会の森喜朗会長に反対するネット上での運動を開始した。(ロイター通信)
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18 Feb 2021 05:02:46 GMT9
18 Feb 2021 05:02:46 GMT9

22歳の日本の大学生が、有力者である東京五輪組織委員会の会長と同氏の性差別発言に反対するネット上での運動を開始した時、彼女にはあまりうまくいく確信がなかった。

しかし他の活動家と一緒に立ち上げた能條桃子さんの「#DontBeSilent」運動は、2週間足らずで15万人以上の署名を集め、東京2020オリンピック組織委員会の会長を務める森喜朗氏に対する世界的な怒りを呼び起こした。

森氏は先週辞任し、後任には7つのオリンピックに出場した女性の橋本聖子氏が就任した。

このハッシュタグは80代の森元首相が「女性はしゃべりすぎる」と発言したことを受けて作られた。能條さんはTwitterなどのソーシャルメディアでこのハッシュタグを使い、森氏に反対する行動を求める請願書への支持を集めた。

「15万人の署名を集めた請願書は今までほとんどありませんでした。本当に素晴らしいと思いました。人々もまた、森会長だけの問題ではなく、個人的な問題として捉えてくれています」と能條さんはZoomでのインタビューに笑顔で答えていた。

デンマークでの1年間の留学から生まれた能條さんの活動は、日本では政治の本流から外れた女性たちが、世界第3位の経済大国である日本で、キーボードを使って社会に変革をもたらした最も新しい実例となった。日本では男女差別や賃金格差、そしてステレオタイプがはびこっている。

能條さんは東京にある慶應義塾大学経済学部の4年生で、「日本の男女平等を推進する良い機会だと気づかせてくれました」と語った。

能條さんによると、彼女の活動は「女子だから制服のかわいい高校に行かないとダメでしょう?」「大学を出て無職になっても専業主婦になれるでしょう?」など、男性からよく聞かれる質問がきっかけだったという。

能條さんが非営利団体「NO YOUTH NO JAPAN」を立ち上げたのは2019年のことで、デンマークにいた時だった。そこで彼女は、40代前半の女性のメッテ・フレデリクセン氏を首相に選んだデンマークの様子を目の当たりにしたという。

デンマークで過ごした時間により、日本の政治がいかに年配の男性に支配されているかを実感させられたという。

北海道大学教育学部の池田恵子教授は、志を同じくする人々の画一的なグループによって意思決定が行われる傾向にある日本では、若い一般の人々が声を上げることが重要だと指摘した。しかし、変化が訪れるのは苦痛を伴うほどゆっくりとしたものになるだろうと池田教授は言う。

「同質な集団があると、その中にいる人たちは自らの判断が中心からずれていると気づかないので、コンパスを動かすのは極端に難しい」と池田教授は述べた。

能條さんは今週、日本の与党である自民党が行った、会議への参加を認める女性の数を増やすが、発言権のないオブザーバーとしてのみ参加できるようにするという提案を、下手な広報活動だとして批判した。

「ジェンダー問題を根本的に改善しようという意志があるのかどうか分からない」と能條さんは言い、自民党はオブザーバーとしてではなく、重要ポストにもっと多くの女性を配置する必要があると付け加えた。

現実として、能條さんの勝利は長い戦いの中での小さな一歩に過ぎない。

日本は世界経済フォーラムの「ジェンダーギャップ指数2020」で153か国中121位にランクされており、女性の経済参加と政治的権利拡大のスコアが低く、先進国の中では最悪のランクとなっている。

活動家や多くの一般女性は、職場や政治において抜本的な変化が必要だと言っている。

「日本では男女平等に関連した問題がある時、多くの声は聞かれず、状況を改善しようとする声があっても、そういった声は勢いを失い、何も変わらない」と能條さんは言う。

「私たちの次の世代には、この問題に時間を費やしてほしくない」

ロイター通信

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