
ベイタ、パレスチナ地区:極右のナフタリ・ベネット首相率いる新政権との合意に基づき、ユダヤ人入植者が2日、西岸の違法入植地から退去したとAFP通信が報じた。
退去期限の午後4時に合わせ、最後の車両がイバタール入植地を去った。
数週間前、多数の入植者家族が国際法にもイスラエルの法律にも反する入植地の建設を開始し、近隣のパレスチナ人から激しい抗議が起きていた。
6人の子どもの母親であるサラ・リソンさんは車で出発する前に「すぐに戻ってこられるよう願っています」とAFP通信の取材に対して語った。「大きな家を建てられるでしょう」
この丘の上の入植地には、ユダヤ人入植者がトレーラーハウス、小屋、テントなどを設置している。1967年にイスラエルによって占領されたパレスチナ人居住区、西岸の北にあるナーブルスの近くだ。
1日にイスラエル政府が発表した取り決めにより、入植者は2日午後までに退去することを求められた。
しかし、入植者の仮設住宅は撤去されず、イスラエル軍がこの地区に駐留することになっている。
入植者の退去の際に、兵士が現場にいたとAFP通信が伝えている。
今後、国防省がこの地区の評価を行い、入植地の建設を許可する国有地として宣言される可能性がある。
そうなれば、軍はコミュニティに宗教学校建設の許可を与えるとみられる。
この土地が自分たちのものであると主張するパレスチナ人は、車のタイヤを燃やしたり、クラクションを鳴らしたり、レーザー光線を当てるなどして入植者を妨害してきた。そして、イスラエル治安部隊との間で死者の出る衝突が起きている。
2日、パレスチナ住民らは再びこの地域に集まり、石を投げたり、タイヤを燃やしたりして抗議した。
この入植地をめぐる火種は、ナフタリ・ベネット首相率いる主義主張の異なる8つの党からなる連立政権にとって、発足後まもない試練となっている。連立政権には、ベネット首相の属する極右政党「ヤミナ」のほか、左派グループやアラブ系政党も含まれている。
今回の取り決めにはイスラエルの左派グループが反対しているほか、付近のパレスチナ人の村、ベイタの村長も反対している。村長は1日、AFP通信の取材に対し「イスラエル人がこの土地にとどまる限り、衝突と抗議が続く」と強調した。
AFP