
【ワシントン時事】日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の失効が土壇場で回避されることが決まり、米国務省報道官は22日、声明で「韓国の決定を歓迎する」と表明した。トランプ政権は過去数週間にエスパー国防長官やスティルウェル国務次官補ら政権高官を相次いで韓国に派遣し、破棄撤回へ圧力を強めていた。
報道官はこの中で、日韓両国に対して、関係悪化の引き金となった徴用工問題などを念頭に「歴史問題の永続的な解決を確実にするために誠実な議論を続けるよう促す」と要請。その上で、「防衛・安全保障の問題は日韓関係のその他の分野と切り離すべきだ」とも強調した。
トランプ政権は、日韓との連携を対北朝鮮など東アジアの安全保障政策の基軸とみており、GSOMIAの失効は「中国やロシア、北朝鮮を利する」と憂慮していた。21日にはポンペオ国務長官が韓国の康京和外相と電話会談し、日韓関係の重要性を訴えたほか、米上院がGSOMIAの重要性を訴える決議を採択。米側は失効期限直前まで働き掛けを続けた。
米ヘリテージ財団のブルース・クリングナー上級研究員は「失効は米軍を危険にさらし、米韓同盟に直接影響を及ぼす」と指摘。在韓米軍駐留経費の韓国側負担をめぐる米韓の交渉が難航する中、駐留米軍の一部撤収の可能性が取り沙汰されるなど、米韓関係の亀裂を懸念する声も出ていた。
JIJI Press