
来日中のフランシスコ・ローマ教皇は24日、被爆地の長崎市を訪問した。同日夕には広島市も訪れる。教皇の被爆地訪問は、故ヨハネ・パウロ2世以来38年ぶり。被爆者らを前に、「核兵器や大量破壊兵器を所有することは、平和と安定の望みへの最良の答えではない」と核兵器廃絶を求めるスピーチを行った。
フランシスコ教皇は「広島と長崎から人類は学んでいない」と発言するなど、2013年の就任以来一貫して核兵器廃絶の必要性を訴えてきた。教皇が国家元首を務めるバチカンは、17年に国連で採択された核兵器禁止条約を最初に批准した3カ国の一つ。
教皇は24日午前、雨が降る中、長崎市の爆心地公園を訪れ、原爆の犠牲者に対して献花し、黙とう。その後、被爆者ら約1000人を前に、核兵器廃絶に向けた演説を行い、政治指導者に向けて「核兵器は国家や世界の安全保障への脅威から私たちを守ってくれるものではない」と訴えた。
同市の西坂公園では、豊臣秀吉のキリシタン弾圧で殉教した「26聖人」に祈りをささげる。午後には長崎県営野球場で約3万人の信徒らが参加するミサを執り行う。
教皇はその後、広島市に移動し、平和記念公園で開かれる「平和のための集い」に参加する。集いには宗教関係者や被爆者ら約2000人が出席。教皇は原爆死没者慰霊碑への献花後、被爆者から被爆体験の証言を聞き、平和へのメッセージを発表する。
故ヨハネ・パウロ2世が1981年に来日した際には、原爆死没者慰霊碑の前で「平和アピール」を行い、「戦争は人間の仕業だ」「広島を考えることは、核戦争を拒否することだ」と訴えた。
JIJI Press