
朝鮮半島、さらには東アジア地域での緊張が高まる中、日本は防衛力の強化を模索しており、新しい保守的な大統領のもとでの韓国による北朝鮮に対するより強硬な姿勢は、日本政府に歓迎されるだろうとアナリストらは語る。
今週、韓国と米国はミサイルを発射し、その空中戦力を合同で見せつけた。日曜日に北朝鮮が連続で発射した短距離弾道ミサイルに対抗したものだ。
韓国の尹錫淵(ユン・ソクヨル)大統領は、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)最高指導者が軍事挑発に対する警告や対話の申し出を無視すれば、より強硬に対応することを約束しており、このような直接的な対応をとったのは5月の就任以来2度目となる。
ソウルにある慶南大学校の金東葉(キム・ドンヨプ)氏は、「朝鮮半島の緊張の高まり、北朝鮮の行動、それに対する我々の対応は、日本を笑顔にさせるに違いない」と述べた。
北朝鮮が新たな核実験を準備している兆候と米韓合同軍事演習の再開は、日本が普通の軍事国家になるための取り組みの正当化を後押しすると、元韓国海軍将校の金氏は話した。
何十年もの間、日本は防衛費を国内総生産の1%以内に抑えるという政策を固持しており、日本を第二次世界大戦に導いた軍国主義の復活に対する懸念に対処してきた。
しかし先月、ジョー・バイデン米大統領訪日の際、岸田文雄首相は、より強固な防衛態勢をとるという日本政府の考えを強調した。これは、積極性を増し、軍事能力を高め続ける中国に対抗するために、ワシントンが長いこと待ち望んでいたことだ。
日本は今週、「今後5年以内に」防衛費を大幅に増額することを望むと発表した。
「北朝鮮の挑発に対する尹政権のより強硬な姿勢は、金政権を抑止する取り組みとしてだけでなく、すでに中国からの圧力にさらされている地域秩序を守る一環として、日本で支持を得るでしょう」と、ソウルにある梨花女子大学校のレイフ・エリック・イーズリー国際学部教授は語った。
年末までに策定される日本の国家安全保障戦略に関する最新の内容で、岸田政権は敵の基地を攻撃できるようにミサイルやその他装備の確保を明記することが予想されており、日本は敵への攻撃を禁止する平和主義憲法の境界を超えることになると軍事評論家は話す。
『おまけ』
戦時中の出来事や日本による朝鮮半島の植民地化に端を発する論争によって妨げられてきた関係のリセットを日本と韓国が模索するなか、ソウルはこれまでの姿勢からの転換を図っている。
尹大統領は近いうちに岸田首相と会談し、協力して関係改善に努めたいと話している。
神奈川大学で日本の政治と安全保障を専門とするコーリー・ウォレス氏は、日本がより強力な防衛政策で国民の支持を得ている一方で、ソウルとのより良好な関係は『思いがけないこと』と述べた。
ウォレス氏は、「ウクライナの状況を受け、中国の脅威はかつてなかった形で防衛費に対する国民の支持を刺激しました。日本政府は、かつては幾分閉ざされていたドアを押し開く機会を伺っています」と語った。
「ソウルとの関係改善は思いがけない『おまけ』です。」
日本テレビ放送網と読売新聞が6月5日に実施した世論調査では、回答者1,060人のうち約72%が防衛力強化を支持しており、半数以上が日本の防衛費の増額を望んでいた。また、他の最近の調査によると、ほとんどの人が尹政権下での韓国とのより良好な関係を期待している。
専門家は、北朝鮮に対する米韓のより強力な複合防衛態勢が、日本による中国けん制へのさらなる注力を後押しすると話す。
「理論的には、日本は代わりにより多くの軍事資源と新たな支出を投入して、南西海域での軍事的プレゼンスを強化し、中国をけん制することができます」とウォレス氏は語った。
「ただ、日本にそれだけの自由度を与えるには、何年にもわたるソウルと東京との前向きな関係が必要でしょう。」
ロイター