
文部科学省の私立大支援事業で東京医科大に便宜を図った見返りに、同大入試で加点により息子を合格させてもらったとして、受託収賄罪に問われた元同省科学技術・学術政策局長、佐野太被告(62)ら4人の判決公判が20日、東京地裁であった。西野吾一裁判長は「入試の公平性をないがしろにした」と述べ、佐野被告に懲役2年6月、執行猶予5年(求刑懲役2年6月)を言い渡した。弁護人によると、佐野被告は控訴する意向。
贈賄罪に問われた同大前理事長の臼井正彦被告(81)を懲役1年6月、前学長の鈴木衛被告(73)を懲役1年、受託収賄ほう助罪に問われた仲介役の医療コンサルタント会社元役員の谷口浩司被告(51)は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)理事を務めた元同省国際統括官=収賄罪で有罪確定=への贈賄罪と併せて懲役2年としたが、いずれも執行猶予を付けた。
西野裁判長は判決で、谷口被告が宴席での会話を録音したデータから、同省官房長だった佐野被告が入試で合格最低点に達しない場合に加点されると認識し、支援事業に関して臼井被告から助言、指導を依頼され承諾したと認定。謝礼で同大を受験した次男の成績に10点加算を受けて正規合格にしてもらったとし、発表前に合格を知らされていたことも推認できるとした。
佐野被告側は「職務と関連性がなく、加点がなくとも補欠合格していた」と無罪を主張したが、「加点は募集要項に反して有利に扱うもので、賄賂たり得る」と判断。私大支援事業についても官房長の職務に関係するとし、「職務の公正さへの意識は鈍磨し、強い非難は免れない」と指弾した。
判決によると、佐野被告は2017年5月、谷口被告が設けた宴席で、臼井被告から支援事業に選定されるよう助言、指導を頼まれ、謝礼と知りながら18年2月の同大入試で次男を不正に合格させてもらった。
時事通信