
1971年に東京・渋谷で警察官が殺害された「渋谷暴動事件」で、現住建造物等放火や殺人など五つの罪に問われた過激派「中核派」のメンバー、大坂正明被告(73)の初公判が25日、東京地裁(高橋康明裁判長)であった。
大坂被告は罪状認否で「五つの罪名全てにおいて無実であり、無罪である」と述べた。
大坂被告は2017年に広島市内のアジトで逮捕され、逃亡は約46年間にわたった。
被告の関与を裏付ける有力な証拠はなく、当時10代だった元学生らの目撃証言の信用性が最大の焦点となる。
検察側は冒頭陳述で、大坂被告が、最高責任者として無期懲役が確定し、服役中に死去した星野文昭元受刑者=当時(73)=らと共に、中村恒雄巡査=当時(21)、警部補昇任=を取り囲んだと指摘。
同被告は「殺せ、殺せ」と叫び、他のメンバーが無抵抗な中村巡査を殴打して火炎瓶を投げ付けた後、元受刑者らと共に逃走し、翌日の集会で「機動隊1人を倒した」と演説していたという。
弁護側は「面識のない群馬の大学生らによる50年前の供述調書が、唯一の証拠の異常な裁判。
客観証拠は皆無で、調書は捜査官の強要などにより作成された」と強調。
「デモ隊の最後尾にいて事件後に現場を走り抜けただけ。関与は一切ない」と反論した。
起訴状によると、大坂被告は71年11月14日、東京都渋谷区で多数の学生や労働者らと共謀し、火炎瓶や鉄パイプで警察官3人を襲撃してけがをさせたほか、新潟県警から派遣された中村巡査を殺害したとされる。
公判は26日も開かれる。
弁護側によると、来年3月までで計22回を予定し、元学生ら計28人の証人尋問が行われる。
時事通信