
ルノーに近い二人の情報筋によると、ルノーのエンジニアリング部門のトップが今週日本で日産のエンジニアリング部門トップと会合を持つ予定である。両社は、カルロス・ゴーン事件で動揺しているアライアンスにとって極めて重要なプロジェクトを復活させることを目指している。
この仏日アライアンスは現在、カルロス・ゴーン被告の追放と逮捕が引き起こした問題で奮闘中であるが、提携を画策したゴーン被告は、この提携は破綻の危機に直面しているとの発言をしている。
ゴーン被告が去ってから遅延しているコスト削減に繋がる共同エンジニアリングプロジェクトを遂行しなければ、両社に対する投資家センチメントは好転しないというのが、アナリストの考えだ。
二人の情報筋によると、1月6日にライバルの自動車メーカー、グループPSAからルノーに移ったジル・ル・ボルニュ氏が日産の共同エンジニアリングプロジェクト担当の山口豪氏と会う予定だ。
ル・ボルニュ氏の会合に関するコメントをルノーに求めたが、無回答だった。
自動車産業全体が景気の低迷や低公害車、自動運転車に対する大幅投資に喘いでいる中、ルノー・日産のコスト削減での提携は両社にとって非常に重要である。
「アライアンスは問題に直面しているが、アライアンスのエンジニアリングチームは健在だ」とアライアンスに近い3番目の情報筋が語った。「これまで深く係わりあってきたものを急に止めることは出来ない」
東京地検特捜部は2018年11月に、それまでアライアンスの社長兼CEOだったカルロス・ゴーン被告の逮捕に踏み切り、金融商品取引法違反で起訴した。
ゴーン被告は12月末、日本を脱出してレバノンに逃亡した。被告は、起訴内容はでっち上げであり、日本側パートナーがフランスのパートナーに対する信頼を失くし、被告のアライアンスからの追放を図ったものと語っている。
共同プロジェクトに焦点
ルノーのジャン・ドミニク・スナール会長は、両社とも提携を成功させる決意を固めており、それには共同プロジェクトが最重要点になると語った。
アライアンスには日本の自動車メーカー、三菱自動車も含まれるが、1月30日に日本で開かれる定例取締役会ではプロジェクトが議題に上る予定だ。
焦点の一つとなるのはハイブリッド電源システムであろう。アナリストによれば、この分野ではアライアンスは効果的な共同研究開発努力をしてきていない。アライアンスの各三社は独自のシステムを開発してきた。
「これが衝突の原因になっている」とアライアンスに近い3番目の情報筋が語った。「現在はシステムが3つあるので、それを最も効率の良い方法で使用しなければならない」
同情報筋によれば、日産はルノーが開発した「E-Tech」ハイブリッドシステムを小型SUVジュークに使用し、ルノーは、特にアジアにおいて、日産が開発した「e-POWER」システムをカジャーのモデルに使用することになる。
三菱自動車は今でもベストセラーのアウトランダーに自社開発のハイブリッドシステムを使用している。
ロイター