
政府は、地域交通の活性化に向けて、国土交通省など関係省庁による新たな会議を設置する方針だ。バスやタクシーといった地域交通を教育や福祉、農業などさまざまな分野で活用し、交通活性化と地域が直面する課題解決を一体的に進める方策を探る。
また、地域間の移動時間を短くし生活圏を広げるため、鉄道網の強化策も検討する。
2日に開かれた政府の「デジタル田園都市国家構想実現会議」で、岸田文雄首相が斉藤鉄夫国交相に新たな会議の設置を指示した。早ければ今夏にも立ち上げる方向で調整している。
地域交通の活性化は、三重県志摩市で始まった先進7カ国(G7)交通相会合の議題の一つ。日本では、改正地域公共交通活性化再生法が4月に成立した。ローカル鉄道やバス、タクシーなどの地域交通を再構築し、持続可能とするための新たな支援の仕組みが設けられた。
これを受け実現会議では、交通活性化を当面の重点検討課題の一つに位置付け、地域交通とさまざまな分野の連携の具体化や、全国の優良事例の「横展開」を加速するとした。
具体的な連携方法としては、▽路線バスとスクールバスを実質的に統合し、学校の送迎負担を軽減すると同時にバス事業者の収支改善▽介護のデイサービス事業所の送迎業務をタクシーに委託▽バスターミナルを活用して地元の農産品販売や健康相談サービスを実施―することなどを想定。関連施策を2025年度予算案に反映させることを目指す。
一方、地方の鉄道網強化は、人口減少が顕著な地域で今後、単独での社会課題解決が難しくなるとの懸念が背景にある。移動時間を短縮し、大都市を含めた広域的な生活圏を形成することが必要とみており、在来線の線路を走行する「ミニ新幹線」のさらなる高速化などを視野に検討を進める。大都市とのアクセスを改善することで、企業・工場の地方誘致や、通院・通学の利便性向上などにつなげたい考えだ。
時事通信