
日米両政府が、中国や北朝鮮、ロシアが開発を進める「極超音速兵器」を迎撃するミサイルを共同開発する方向で調整していることが14日、分かった。米国で18日に行われる日米韓3カ国首脳会談に合わせ、岸田文雄首相とバイデン米大統領が個別に会談して合意する見通しだ。
迎撃ミサイルの日米共同開発は、2017年度から取得を始めた「SM3ブロック2A」に次いで2例目。
既存のミサイル防衛は、海上自衛隊のイージス艦から発射するSM3が大気圏外で、陸上自衛隊の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)が落下段階でそれぞれ迎撃する二段構えだ。
極超音速兵器は音速の5倍以上で、比較的低空を変則的な軌道で飛行する。放物線を描く通常の弾道ミサイルと比べて迎撃が難しいとされる。日米は22年の外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)で対処に向けた共同分析の開始で一致した。
防衛省は、海自イージス艦に搭載する対空ミサイルSM6や陸自の03式中距離地対空誘導弾(中SAM)能力向上型で対処する方針だが、いずれも落下段階での迎撃が中心となる。新型ミサイルは、より手前の段階で迎撃する見通しだ。
極超音速兵器は低空を飛行するため、地上配備型の警戒管制レーダーでの捕捉が遅れる。政府は、多数の小型衛星で常時監視を可能とする「衛星コンステレーション」の構築を急ぐ。敵のミサイル拠点などをたたく反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有に向けた米国製巡航ミサイル「トマホーク」の取得も進める。
時事通信