
マニラ:フィリピンの安全保障当局者が20日に述べたところによると、係争中の海域で中国が最近見せた侵略行為をうけ、米国、日本、オーストラリアは今週、この地域における法の支配への責任を強調するためにフィリピン西部沖の南シナ海で海軍の合同訓練を計画している。
8月5日、中国の沿岸警備隊が争いの場となっている航路でフィリピンの船舶に対し放水銃を使用した。以前から、この海域の紛争は潜在的な火種とみなされており、この地域における米中対立の断層線となっている。
訓練では、航空機やヘリコプターを積んだ3隻の空母艦が武力を誇示しながら揃って航行し、共同訓練を実施する。フィリピンの安全保障当局者2名がAP通信に語ったところによると、空母艦の司令官らは洋上訓練の後、マニラでフィリピン側の軍部高官と会談する予定だという。
予定されている訓練の詳細について公に話すことが許されていないため、フィリピンの情報提供者は両名とも匿名を条件に語った。
米国は空母艦「アメリカ」を、日本は保有する中で最大級の護衛艦であるヘリ空母の「いずも」を配置する見込みだ。オーストラリア海軍は、同じくヘリコプターを搭載できる「HMASキャンベラ」を派遣するだろうと2名の関係者のうちの1名は語り、共同訓練が数か月前に計画されたものであると補足した。
フィリピンは、軍事的なロジスティクスの制約から今週の訓練には参加しないが、将来的には参加国となることに前向きである、と同高官は語った。
米国、日本、オーストラリアなどの数か国は、今月初めに緊迫したこう着状態をもたらした中国の行動に対し、懸念とフィリピンへの支持を即座に表明していた。
フィリピン当局によると、中国の沿岸警備船6隻と民兵船2隻がフィリピン海軍のチャーターした物資補給船2隻を妨害した。補給船は、セカンド・トーマス礁に駐留するフィリピン軍へ物資を運んでいた。フィリピン軍によれば、補給船のうち1隻は中国の沿岸警備隊に強力な放水銃で撃たれたものの、もう1隻は食料、水、燃料やその他の物資を、この礁を守るフィリピン軍へ何とか届けたという。
中国沿岸警備隊は、同隊の船舶がフィリピンの船舶に対して放水銃を使用したことを認めた。彼らは、中国では仁愛礁と呼ぶ浅瀬に、フィリピンの船舶が許可なく迷い込んだと述べている。
「再三の警告が効果的でなく、直接の航行遮断や衝突を避けるために警告として放水銃を使用した。現場での運用はプロフェッショナルかつ抑制的であり、申し分のないものであった」と中国沿岸警備隊は述べた。「中国は、領土主権を守り抜くために必要な措置を取り続ける」
フィリピン軍は19日、セカンド・トーマス礁の自軍へ基本物資の供給を再度試みると発表したが、それ以上の詳細は明らかにされなかった。
フィリピン軍は声明の中で、「同礁への任務は、脅威と抑圧に立ち向かうという我々の決意と、法の支配を守ることへの責任を明確に示すものである」と述べた。
ワシントンは今回の事件を受けて、フィリピンの公用船舶や部隊が南シナ海を含む海域で武力攻撃を受けた場合、米国は長年の同盟国を防衛せざるを得ないとの警告を新たにした。
AP