上川陽子外相は18日、国連総会に出席するため、米ニューヨークに向けて出発する。外国訪問は就任後初めて。中国の軍事的台頭、ロシアのウクライナ侵攻など難しい外交課題に日本が直面する中、先進7カ国(G7)外相会合や各国外相との個別会談に臨む。G7議長国の外相としての手腕が早速試される。
米国のブリンケン国務長官、オーストラリアのウォン外相らと会談する。国連安全保障理事会改革を求める日本、ドイツ、インド、ブラジルの4カ国(G4)外相会合、感染症対策に関する会合にも参加する。
まずは各国外相との早期の関係構築に取り組む。ブリンケン氏とは14日に電話で言葉を交わしたが、対面での会談は初めて。顔と名前を覚えてもらう場となる。上川氏は15日の記者会見で「世界のカウンターパートとの信頼関係を築きたい」と語った。
林芳正前外相は約2年の在任中にブリンケン氏と20回会談し、日米の強固な同盟を確認してきた。2021年12月の英国でのG7外相夕食会でジョン・レノンの代表曲「イマジン」をピアノ演奏したことも話題となった。
上川氏の外交手腕は未知数だが、岸田文雄首相は13日の会見で「国際人脈が豊富で、閣僚としても経験豊富」と評価した。政界入り前に米上院議員の政策立案スタッフとして働いた経験があるが、政治家としては派手さを好まない実務家の印象が強い。
東京電力福島第1原発の処理水放出に反発する中国、弾道ミサイル発射を繰り返す北朝鮮への対応が問われる。
日本のG7議長国は年末まで。その任期途中で外相を交代させたことについて、首相は「首脳外交が大きなウエートを占める。私が大きな役割をこれからも果たしていく」と述べ、自らが外交を主導する意向を明確にした。上川氏が存在感を示せるかが課題となる。
時事通信