エルサレム: 27日に警察が発表したところによると、アラブ系一家5人が自宅で射殺された。今年に入って新たなピークに達しているイスラエルのアラブ系コミュニティで多発する犯罪関連の殺人の中で、直近に発生した事件となっている。
北部の町バスマット・タブンで、女性と2人のティーンエイジャーを含む5人が射殺された事件は、27日のそれより早い時間帯に50歳の男性が殺害された別の事件に続くもの。
イスラエルでは1月以降、180人以上のアラブ系市民が犯罪関連の暴力で殺害されており、これは7年ぶりに多い発生件数となっている。相次ぐ殺害が野放し状態で続いており、ベンヤミン・ネタニヤフ首相率いる宗教的国家主義政権が流血の惨事を無視しているとの批判を招いている。
「イスラエルには(行動を起こす)能力があり、イスラエル政府をはじめ、誰もが何をすべきか理解しているが、その意思とリーダーシップがないだけだ」とイスラエルの少数派アラブ系住民を代表する政党の党首マンスール・アッバス氏はそう指摘した。
アラブ系市長たちは、意図的にアラブ系コミュニティを無視し、犯罪者が処罰されることなく行動できるようにしているとして政府と警察を非難した。彼らは、テロ支援や反アラブ扇動で過去に有罪判決を受けた極右のイタマル・ベングビール国家安全保障相との連携を拒否し、代わりにネタニヤフ首相の介入を求めている。
イスラエルが過去数十年で最悪の政治危機に直面している中、ネタニヤフ首相が司法制度の分裂的な改革を推進していることについて、アラブ系市民は、政府はアラブ系コミュニティにおける身の安全の崩壊について、より関心を高めるべきだと訴えている。
27日の事件について、ベングビール国家安全保障相は事件直後のコメントは避けたものの、行動を起こしていないという非難を退けた。同氏は犯罪との戦いは彼にとって重要な課題であり、警察は犯罪グループから武器や資金を押収するなど、犯罪撲滅活動を強化していると説明した。
「警察として、我々は犯人確保に全力を注ぎます」。警察の広報担当者であるエリ・リヴイ氏は27日に発生した殺人事件の現場で記者団にそう語った。
1948年のイスラエル建国をめぐる戦争の際に多くが難民として外国に流出したが、アラブ系市民の多くはイスラエル国内にとどまったパレスチナ人の子孫であり、イスラエル人口の約5分の1を占めている。
彼らは何十年もの間、高い貧困率、資金不足の学校、サービスが不足する過密な町といった問題に直面しており、ユダヤ系イスラエル人と比べて二級市民として扱われていると訴えている。
ロイター