


ナイロビ:スーダン紛争で避難民となった民間人の多くが、世界で最も新しい国である隣国の南スーダン共和国に逃げ込んでいるが、そこでも数々の困難に直面している。
4月にスーダンで戦闘が勃発して以来、推定25万人(スーダンに住んでいた多数の南スーダン人を含む)が国境を越えて南スーダンに逃れている。現在その多くは過密なキャンプで暮らしており、食料、衛生設備、基本的な医療サービスの不足に直面している。
新たに避難してきた人々の間での高い栄養失調率とコレラやはしかなどの疾患の流行は、悲惨な医療衛生状況を物語っている。この地域で活動する援助団体は、そのような状況は数多い深刻な懸念材料の一つだと訴えている。
国連は、紛争当事者間の和解が早急に成立しなければ、スーダン難民の数は年末までに2倍になる可能性があると警告している。
南スーダンは、避難所と食料を求め流れ込む人々を受け入れる準備ができていないだけでなく、同国自体も政治的・経済的欠陥を抱えているせいで、スーダン紛争終結の仲介者として役に立つことができていない。
南スーダンのサルバ・キール大統領による仲介努力の甲斐もなくである。同大統領は最近、スーダンの事実上の指導者で国軍トップのアブドゥルファッターフ・アル・ブルハン将軍を首都ジュバに迎えた。
南スーダンも人道危機とは無縁ではなく、2011年の独立以来、流血を伴う紛争に見舞われてきた。分離元の北の隣国と同様に、南スーダンも政情不安や民族間紛争を抱えているのだ。
それに拍車をかけるのが、南スーダンの限られたリソースと未発達なインフラである。同国はスーダンからのこれほど大量の難民の突然の流入に対処できる状況ではないのだ。
南スーダンのジョン・ダビ難民問題担当副長官はアラブニュースに対し、「これらの難民の大多数は女性、子供、若い大人であり、12~22歳の若者が目立って多い」と語る。
特に、ジュバと国境の町レンクは、突然の人口増加による圧力に晒されており、食料、医薬品、住居などの生活必需品が深刻に不足している。
そして、変わりやすい気候からの影響もある。南スーダンでは雨季には地区全体が冠水し、道路は通行不可能な泥道に変わるため、援助物資の配給や遠隔地の難民キャンプへのアクセスが妨げられるのだ。
予想できることだが、南スーダン経済は壊滅状態である。最近、開発の加速を目的とした「国家経済会議」が設置されたにもかかわらずだ。
世界銀行で南スーダンを担当するフィラス・ラアド氏は最近、同国政府に対し、より安定したマクロ経済環境、強固な公的財政管理、効果的なガバナンス改革に向けて努力することで国民の状況を改善するよう求めた。
南スーダンの政策アナリストで元政府顧問のスザンヌ・ジャンボ氏はアラブニュースに対し、このような南スーダン経済の危うい状況はスーダン紛争の仲介者としての同国の信頼性に疑問を投げかけていると指摘する。
同氏は次のように語る。「南スーダンは、統一された軍、合意された憲法体制、公正に選出された代表、そして言うまでもなく選挙の実施、それらを含む永続的な状態への安定した移行を実現しようと今も苦闘している」
南スーダンの不安定な状況に影響を与えているのはガバナンスや経済だけではない。スーダン紛争の民族的・部族的輪郭はあまりにも明白であり、数百万人が近隣諸国に避難する中でスーダン国内や穴だらけの国境における政治的分断が顕在化している。
例えば、準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」はダルフールのアラブ系部族から戦闘員を徴募している。
専門家らは、民族間の緊張がさらにエスカレートする可能性をふまえ、人道援助の適切な分配や紛争の予防・解決戦略のためには協調的な取り組みが必要不可欠だと考えている。
南スーダンに逃れてくるスーダンの民間人は、同国の民族的・人種的・宗教的多様性を反映した様々な背景を持っている。コミュニティー間暴力が起こる可能性を最小化するために、従来型の難民キャンプではなく隔離型のキャンプが設置されている。
南スーダンのダビ難民問題担当副長官は、「難民危機の管理における重要な側面はコミュニティー間紛争の予防だ」と語る。しかし、南スーダンに逃れてきたスーダン難民が直面する最も喫緊の問題は必要不可欠なリソースの不足だという。
スーダンから他の近隣諸国に渡った人々の状況も同じくらい悲惨なようだ。
援助団体「国境なき医師団(MSF)」によると、ダルフールの暴力から40万人以上が逃れてきているチャドは非常に絶望的な状況になっており、「人々は子供たちに虫や草や葉っぱを食べさせている」という。
アドレにおけるMSFの緊急コーディネーターであるスザナ・ボルジェス氏は声明で、深刻な食料不足の中で「食料を5週間受け取っていない人もいる」と訴えた。キャンプでは水、衛生設備、避難所、医療も不足しているという。
「我々が対処している最も緊急の医療ニーズは、マラリア、下痢、栄養失調だ」と同氏は続けた。国連によると、チャドのキャンプでは栄養失調で死亡した5歳未満の子供が既に数十人いるという。
現在5ヶ月目に入っているスーダン紛争は、RSFを国軍に統合する計画に端を発して発生したものだった。
4月15日、アル・ブルハン将軍と、同将軍の元副官でRSFトップのモハメド・ハムダン・「へメッティ」・ダガロ将軍との間の長年の権力闘争が突如エスカレートし、外国人や大使館職員は退避を余儀なくされた。
「武力紛争発生地・事件データプロジェクト」の控えめな推計によると、紛争勃発以降、少なくとも7500人が死亡している。
スーダンの首都ハルツームと、最悪の暴力に苦しんできた西部のダルフール地方では「砲撃が激化」しており、国軍とRSFが互いの基地を「大砲とロケット弾」で攻撃しているという。
ハルツーム中心部では、制空権を持つ国軍が定期的に空爆を行う一方で、RSFの戦闘員らは市街地を支配している。
南ダルフール州の州都ニャラでは、戦闘機は「RSF指導部」を標的にしていると住民は話している。しかし、現地からの報告が示唆するところでは、民間人が日常的に銃撃戦に巻き込まれている。
国連の数字によると、戦闘により自宅から避難した人々は500万人以上に上り、そのうち100万人が国境を越えて近隣諸国に逃れている。
この週末、スーダン東部でコレラの集団感染が報告され、ハルツームや南コルドファン州に拡大したかどうかを確認するための調査が開始された。
この紛争ではジェンダーに基づく暴力も急増している。それは、強姦、人身売買、児童婚の増加についての多数の信頼できる報告によって裏付けられている。
停戦を仲介するための外交努力が複数なされてきたが、紛争は継続・激化しており、避難民が近いうちに自宅に帰れる見込みはほとんどない。
南スーダンは、スーダンに住んでいた南スーダン人の受け入れに苦慮しているが、国連難民高等弁務官のフィリッポ・グランディ氏による最近の同国訪問は、国際社会が気に留めていることを示唆している。
しかし、国連のピーター・ファン・デル・オーウェラート南スーダン担当人道調整官は、来年は同国に対する人道支援が大幅に減少する可能性があると注意を促している。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、寄付を要請した10億ドルのうち今のところ19%しか拠出されておらず、人道援助団体は難民のニーズを満たすのに苦労していると訴えている。