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レバノンでヒズボラに抗して活動・批判をすれば、襲撃・逮捕・脅迫の対象に

ヒズボラに対抗する活動家らは身体への襲撃にさらされつづけている。(AFP)
ヒズボラに対抗する活動家らは身体への襲撃にさらされつづけている。(AFP)
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25 Feb 2020 10:02:58 GMT9
25 Feb 2020 10:02:58 GMT9

ナージアー・フサリー

【ベイルート】レバノン国内の活動家は、ことにヒズボラへの対決姿勢を鮮明にしている者の場合、家族にまで身体攻撃、逮捕、精神的圧迫、脅迫の累が及びつづける。標的となっている個人には弁護士、ジャーナリスト、放送番組の出演者、著述家などがいる。

24日、アン=ナハール紙のアスラール・シェバーロ特派員は公衆の面前で襲撃を受けた。コロナウイルスの脅威へのレバノン当局の対応を扱った記事の一環として、ベイルートのラフィーク・ハリーリー国際空港でイラン発の航空便の到着を取材していたときのことだ。

同特派員の撮影した動画には、身元不明の若い男が彼女を襲撃し、力尽くで携帯電話を奪うようすが映っていた。男は、空港には「ファミリー」がいるから撮影は許されない、と語っていた。「ファミリー」とは、ヒズボラがその支持者について言う表現だ。男は、イランから到着した機内の乗客を収めたシェバーロ特派員の動画を何本も削除した。何の権限があってそうした行為をするのか、どこの者かと彼女が問うたところ、男は政党所属だ、と言い置いた。

アン=ナハール紙はウェブ上で次のメッセージを投稿した。「メディアいじめも真実も、本紙の紙幅を尽きさせることはない。本紙はただ正確に情報を伝え、コロナウイルスと戦う上で取られた脆弱な手法に責任のある者の追及をおこなうのみである」

レバノン国内の活動家、特にシーア派に対抗する者は、政治腐敗や国内の財政危機、高い失業率、基本的な公共サービスの欠如への抗議活動がいや増すなか、幾多の脅威に直面している。アラブニュースの取材に対し、ベイルート南郊に住む家族のもとへも行けず、そうした抑圧は親類にも及んでいる、といった声も聞かれる。抗議活動をおこなう者の中には、活動場所などにテントを張って寝起きせざるをえない者もいるという。

「抗議活動の現場でアマル運動とヒズボラの支持者らと活動家が対峙する状況を回避する決定が下されて以降、抑圧や襲撃は減った。が、精神的な抑圧は依然としてある」。こう語るのは、中学教師で活動家でもあるムハンマド・カーセム氏だ。

ベイルート在住で抗議活動をおこなっているマフムード・ファキーフ氏は、アマル運動とヒズボラの配下にある近隣には立ち寄らないようにしていると語る。

同氏は言う。「変革の起きた初期はわれわれへの抑圧は甚大だった。が、運動が下火になるとともに減少した。とはいえ、依然として気を緩めてはいない。例えば私は南にある自分の村には行かない。そこにはわれわれに対する混じりけのない敵意があるから。以前、ベイルートのズカーク・アル=ブラート地区で襲撃を受けたこともあるが、公的な記録は一切ない」

いま一人の活動家、アリー・アル=アミーン氏も語る。「抗議活動が始まった時点では、シーア派聖職者も多数参加してくれ心強かった。が突如として抗議現場から姿を消した。後でわかったが、ヒズボラと良好な関係にある治安部隊の協力のもと、たとえば一人は脱税をでっち上げられ逮捕され、数日間拘禁されていた。その他の聖職者も、別の罪状でいまだ勾留されている者もいれば、ひどく打擲された者もいる」

活動家への抑圧は特定の社会集団のみにとどまらない。アル=アミーン氏によると、状況は「いっそう混迷しており一連の内外の諸問題と絡んでいる。……いずれにせよ、ヒズボラに逆らえば誰しも抑圧と脅迫を受けることになる」

ソーシャルメディアへの投稿をとがめられ逮捕拘禁された抗議活動家もいる。最新の事例としては、24日、活動家のシャルベル・フーリー氏が投稿内容について当局から尋問を受けている。同氏の逮捕は政党「自由愛国運動」に近いとされる判事による命令だった。他方で、ベイルートの司法府庁舎には弁護士らが抗議活動に集まり、政治的な影響から司法が独立することを求めた。

フーリー氏の弁護団の一人は同氏の逮捕について次のように言う。「これは司法による汚職だ。これまでわれわれはいやというほど変革への動きを阻まれてきたし、言論と表現の自由を冒瀆されてきた。レバノン司法はいま、大きな試練を迎えているのだ」

アル=アミーン氏は言う。「ヒズボラが抗議活動の闘士たちを抑圧するやり方は、他の政党とは一風変わっている。ヒズボラというのは自警団のような政党で、直接手は下さない。抑圧を加えるよう『ファミリー』の周囲に触れを出すのだ。しかしその『ファミリー』も自分が手出しをするわけではない。仕事を処理し教唆する装置が存在しているのだ」

さらに同氏は言う。「他党は支持者を強力にグリップしているとはいえ、抗議活動参加者の多くはこうした党に隠れてやって来て運動に参加し自分の支持する党に背いているわけだ。が、シーア派の社会だけは自警的な装置の掌握下にあり、この装置はレバノンの保安当局をもコントロールしている」

20日、イラン・コムからの航空便の乗客一人がコロナウイルスの陽性反応を示した。レバノン初の感染事例だ。ヒズボラ所属のハッサン・ファドラッラー議員は、イランからレバノンへ訪れる人々をことさらに問題視し運航中止を求めるのは「ことを政治問題化している」としている。

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