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イスラエル軍はガザ地区を急襲、アラブ閣僚らは空爆を非難

ガザ地区南部のハンユニスで、イスラエル軍の空爆で破壊された建造物の瓦礫の中から生存者と遺体を探すパレスチナ人たち。2023年10月26日。(AFP)
ガザ地区南部のハンユニスで、イスラエル軍の空爆で破壊された建造物の瓦礫の中から生存者と遺体を探すパレスチナ人たち。2023年10月26日。(AFP)
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27 Oct 2023 01:10:13 GMT9
27 Oct 2023 01:10:13 GMT9
  • 欧米の首脳らは、パレスチナ市民多数を死に至らしめることになる地上侵攻によるこの戦争の拡大を恐れている
  • イスラエルはハマスが224人の人質を拘束していると発表した

ガザ地区:包囲されたパレスチナ領域へのイスラエルの執拗な空爆に対するアラブ世界の憤りが高まる中、イスラエルの地上部隊がハマスの拠点を標的としてガザ地区への大規模な夜襲を行った。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、イスラエル軍は依然として全面的地上侵攻の準備の最中だと述べていたが、米国を初めとする諸国は中東の他の不安定な地域における敵対行為を激化させることを恐れ、イスラエルに対してそうした攻勢の先延ばしを要請していた。

避難所や水、食料、医療が切実に必要とされている中、ガザ地区のパレスチナ市民への援助提供を行っている国連機関は、ハマスの支配下にある同地域に燃料が届かなければすぐにでも活動を停止せざるを得なくなるかもしれないと述べた。

イスラエルは、10月7日のハマスによる自国の一般地域社会への攻撃を受けて、人口密集地のガザ地区を3週間近くにわたって空爆してきた。イスラエルは、ハマスが約1400人を殺害し、200人以上を人質にしたと述べている。

ガザ保健省は、10月26日、報復空爆により7,028人のパレスチナ人が死亡し、その中には2,913人の子供たちが含まれていると発表した。

10月25日、ジョー・バイデン米大統領はパレスチナ側が発表した死傷者数に疑問を呈した。イスラエル軍の報道官はこの死傷者数は信頼できないと述べた。

イスラエル軍は独自の結果分析を一切公表しておらず、ガザ保健省のアシュラフ・アルキドラ報道官は同省発表の死傷者数への疑問を一蹴した。

ガザ保健省は、10月26日、特定された死亡者全員の名前とID番号を記載したとする文書を公表した。

イスラエル軍ラジオは、イスラエル軍が今回の戦争で最大規模となるガザ地区北部への夜襲を行ったと発表した。イスラエル軍が発表したビデオには、装甲車両が要塞化された境界線を越えて建造物を攻撃する様子が映っていた。

「戦車と歩兵が多数のテロリストの下部組織や拠点、対戦車ミサイル発射基地に打撃を与えた」と、このイスラエル軍のビデオは述べた。

パレスチナ側は、イスラエル軍の夜間空爆が再びガザ地区に対して行われたと語った。また、ガザ地区中央部の市民らは、戦車による夜通しの激しい砲撃を受けたと述べた。

アラブ側からの非難

ガザ地区の情勢が鎮静化する気配がない中、バーレーンやエジプト、クウェート、モロッコ、オマーン、カタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦の外相らは、民間人を標的とする事は国際法に違反しているとしてイスラエルを非難した。

アラブ諸国の外相らは、共同声明で、イスラエルの自衛権は国際法違反やパレスチナ人の権利の無視を正当化するものではないと述べた。同外相らは、ガザ地区でのパレスチナ人に対する退去の強制や集団懲罰を非難した。

同外相らは、また、イスラエルによるパレスチナ地域の占領を非難し、数十年に及ぶ紛争を解決するための二国家解決の実現に向けたさらなる尽力を呼びかけた。二国家解決は、長期にわたって停滞し消滅寸前となっている和平調停における中心的な紛争解決案である。

「パレスチナとイスラエルの紛争に対する政治的解決策の不在が、パレスチナ人とイスラエル人そして中東地域の人々に度重なる暴力的衝突と苦しみをもたらしています」と、同外相らの共同声明は述べている。

欧州各国の政府はイスラエルを支援している。

ドイツのオラフ・ショルツ首相は、10月27日にブリュッセルで会合を行うEU首脳らはイスラエル支持の明確なメッセージを表明する見込みであると述べた。

「イスラエル軍は、その全行動において国際法に基づく規則を遵守すると私たちは確信できます」とショルツ首相は語った。

しかし、一枚岩ではないEUの内情を反映し、ベルギーのアレクサンダー・デ・クロー首相は、ガザ地区において物資の欠乏を引き起こさないようイスラエルに対して警告を発した。

デ・クロー首相は、イスラエルは行動する権利と将来の攻撃を未然に阻止する権利があると語った。

「しかし、それは地域全体を封鎖したり、人道支援の持ち込みを妨害する理由にはなりません。それは、住民を飢えさせる言い訳にはならないのです」

人質

また、10月7日の襲撃でハマスによって拘束され、ガザに連れ去られた200人以上の人質の安危についての懸念も高まっている。

ハマスの軍事部門であるアルカッサム旅団の広報担当者は、26日、イスラエルのガザ地区に対する空爆により約50人の人質が死亡したと述べた。同広報担当者はその詳細を明らかにせず、ロイター通信はこの死亡者数の検証を行うことが出来なかった。

イスラエルは、拘束されている人質が224人おり、そのため地上侵攻が困難となっていると述べている。人質の中には、外国パスポートの保持者も多数含まれている。ハマスは、10月20日以来4人の人質を解放している。

カタールの交渉担当者は、スカイニュースに、戦闘が一時停止されれば今後数日間で人質がさらに解放される可能性があると語った。

カタールのムハンマド・アルフライフィ外相は、「これは非常に困難な交渉です…」と述べた。

「空爆が毎日続いている中、私たちの任務は困難さを増しています。しかし、それでも私たちは希望を失っていません」と、アルフライフィ外相は語った。

死亡者数の増加

ガザ地区北部のジャバリア難民キャンプでは、イスラエルによる空爆が住宅を襲い、母親と3人の娘、そしてまだ乳児の男児が死亡した。乳児の父親は病院で遺体を抱きしめていた。

「この子が誰かを殺しましたか?この子が誰かを傷つけましたか?この子が人質を取ったりしましたか?家にいた無邪気な子供たちでした」と、その父親は語った。

ガザ地区南部のハンユニス市のナセル病院に空爆で死亡した77人の遺体が一晩の内に運び込まれ、そのほとんどが女性と子供だったと同病院のナヘド・アブ・タエマ院長が述べたと、ハマスのラジオ局である「アルアクサ」が報じた。

ナセル病院関係者らによると、10月26日正午頃、イスラエルは国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の避難所からそれほど離れていない地区を空爆し、その結果少なくとも18人が死亡したという。

イスラエル軍は、ハンユニス市域のモスクと幼稚園の近隣にあったハマスのロケット弾発射設備を攻撃したと発表した。イスラエルとハマスの双方が、同じ空爆に言及しているのか否かは定かではない。

イスラエルがガザ地区北部の自宅を離れるよう警告したことを受け、数多くのパレスチナ人らがハンユニスの病院や学校、住宅、難民キャンプや路上に退避している。

UNRWAは、ガザ地区における救命人道活動の維持のために燃料が緊急に必要だと述べた。イスラエルは、ハマスが燃料を奪取する可能性があるとして、ガザ地区に持ち込む援助物資に燃料を含めることを許可していない。

戦争によって住居を失った61万3,000人以上の人々が、壊滅的な打撃を被ったガザ地域全域にあるUNRWAの150施設に避難している。

人道援助物資は深刻な不足を来しているが、世界の主要諸国は、国連において、相応量の援助物資を輸送するための戦闘の一時停止を呼びかける方法について合意に達することが出来なかった。

イランのホセイン・アミラブドラヒアン外相は、国連で演説し、イスラエルのハマスへの攻撃が止まなければ米国はこの「火災から救われる」ことはないと述べた。

ロイター通信

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