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ガザ地区への攻撃の一時停止にイスラエルが同意したと米政府が発表したものの戦闘休止は報告されず

ガザ地区南部のラファで、イスラエル軍の空爆によって破壊された建造物の瓦礫の狭間でお茶を飲む家族。2023年11月7日。(AFP)
ガザ地区南部のラファで、イスラエル軍の空爆によって破壊された建造物の瓦礫の狭間でお茶を飲む家族。2023年11月7日。(AFP)
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10 Nov 2023 03:11:39 GMT9
10 Nov 2023 03:11:39 GMT9
  • 「パレスチナの民間人のガザ市から南方への退避を可能とするために、イスラエル軍は局所的かつ精密な措置を講じています」とイスラエルのヨアフ・ガラント国防相が述べた
  • ハマスの指導者であるイスマイル・ハニヤ氏の政治顧問であるタヘル・アルノノ氏は、水面下での交渉は継続しているもののイスラエル側との合意には未だ達していないと語った

ガザ地区 / ワシントン:イスラエルがガザ北部の一部における軍事行動を10月9日から毎日4時間停止することに合意したと米政府が発表した。これにより、既に数千人が死亡し、地域紛争への不安を煽り立てた1ヶ月以上に及ぶ戦闘が小休止となる期待が高まっている。

米政府の国家安全保障会議のジョン・カービー戦略広報調整官は、この戦闘の一時停止は、人々が2つの人道回廊沿いに退避することを可能とし、また、人質解放に有用足り得るもので、今後に向けての重要な一歩になると語った。

しかし、夜が近づいても、ガザ地区北部の廃墟と化した建造物の間での激しい戦闘が鎮静化したとの報告は即座には寄せられなかった。

また、イスラエル側からは、、既に実施されている取り決めへの対応と考えられる措置へのより一般的な言及が為されたのみで、戦闘の一時停止についての直接の確言は無かった。

「イスラエル軍は、パレスチナの民間人に危害を加えないよう、彼らのガザ市から南方への退避を可能とするために、局所的かつ精密な措置を講じています」とイスラエルのヨアフ・ガラント国防相は述べた。

イスラエル軍は、最近数日間、ガザ市を完全に包囲しているが、毎日3、4時間、南部への主要ルートに沿った民間人の通行の安全を保証している、避難することを選択する家族は増加r続けている。

ガラント国防相は、現況完全な停戦は無いだろうと記者たちに述べた。

「ガザ地区に人質が囚われたままである限り、また、ハマス支配を打倒しその軍事力と統治能力を排除する任務を完遂しない限り、我々イスラエル軍は戦闘をやめることはありません」とガラント国防相は語った。

ハマスの指導者であるイスマイル・ハニヤ氏の政治顧問であるタヘル・アルノノ氏は、水面下での交渉は継続しているもののイスラエル側との合意には未だ達していないと語った。

ハマスが境界を越えてイスラエル南部を襲撃したのは10月7日だった。イスラエル側の集計によると、この日、ハマスの戦闘員たちによって1,400人(大半が民間人)が殺害され約240人が人質として拉致されたという。イスラエルは、この襲撃への対応として、ガザ地区への攻撃を開始した。

75年間のイスラエルの歴史において、この10月7日は最悪の惨事が発生した日となった。ハマスは国際的な非難を浴び、イスラエルへの同情と支持が集まった。

しかし、ハマス支配下のパレスチナの飛び地であるガザ地区へのイスラエルの報復は、それが人道的大惨事へと拡大するに従い、深刻な懸念を引き起こした。

パレスチナ当局は、10月9日の時点で10,812人のガザ地区の住民が空爆と砲撃で死亡し、その約40%は子供であり、また、基本的な生活物資が底を尽きつつあり、イスラエル軍の容赦のない攻撃で複数地域が荒廃させられていると発表した。

ジョー・バイデン米大統領は、4時間よりも長い停止を要請していたと記者たちに語った。ホワイトハウスから外出する際、バイデン大統領は、「3日以上の停止を求めていました」と語った。

バイデン大統領は、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に苛立ちを感じているかとの質問に、「私が期待していたよりも少し時間がかかってしまいました」と返した。

病院に詰めかける自宅から退避したガザ地区の人々

包囲されたパレスチナ領域内の民間人の窮状がさらに深刻化する中、ガザ地区北部では、イスラエル軍が武装勢力ハマスと戦闘を行い、2つの大きな病院に近づいた。

さらに数千人のパレスチナ人が、イスラエルの退避勧告を受け、戦火の激しいガザ地区北部から南部へ、遺体が散乱する危険な最前線の経路を通って逃れた。

しかし、北部に留まる人々も多い。周囲で地上戦がエスカレートし、上空からはイスラエルの空爆が激化する中、北部の民間人たちは、アルシファ病院とアルクッズ病院に詰めかけている。

イスラエル側によると、敵対勢力であるハマスはこうした病院に司令部を設置しているという。

パリでは、約80に及ぶ国と機関の当局者や職員が会合を開き、ガザ地区への支援の調整と、包囲され始めてから2ヶ月が経過した同地区の負傷した民間人を支援する方法を模索していた。

「停戦や包囲の解除、無差別攻撃と戦争の中止が為されなければ、人命の損失は継続することになります」と、ノルウェー難民評議会のヤン・エゲランド事務局長は、米政府による戦闘の一時停止の発表に先立って語っていた。

イスラエルとその最大の支援国家である米国は、完全な停戦はハマスを利すると主張している。

ハマスの拠点であるガザ市の住民たちは、イスラエル軍の戦車が周辺地域に展開していると語った。イスラエル軍とハマスの双方が、激烈な市街戦で互いに多数の死傷者を出すに至ったと報告している。

ハマスの殲滅を誓約したイスラエルは、ガザ市中心部へと進撃した地上作戦で33人の兵士が死亡したと発表した。長年にわたって、ハマスはイスラエルを破壊すると誓っていた。

逃げ場無し

イスラエルによる包囲地域からの退避勧告にも関わらず、ガザ市内のアルシファ病院には数千人のパレスチナ人が避難している。彼らは病院の敷地内にテントを設置し避難場所とし、他に退避する行き先がないのだと語っている。

国連人道問題調整事務所(OCHA)は、イスラエルがガザ地区北部の住民に南部への移動を再び勧告したが、主要ルート周辺での砲撃が継続しているため、避難しようとしている人々が危険にさらされていると述べた。

「軍用車や戦闘員ではなく、民間車両に乗った私たちのような民間人たちの腐乱した死体を目にしました」と、ワディ・ガザを通って家族と共に南部に退避したハーレド・アブ・イッサ氏は語った。

別のガザ地区の住民は、匿名を条件に、妻と6人の子供たちと共に南部に退避してきたと語った。

「イスラエル軍の戦車の前を通過する時はIDカードを手にもって掲げ、その後、同乗させてくれる車を探してさらに数km歩かなければなりませんでした」と、その住民は語った。

ガザ地区南部も当たり前のように攻撃を受けている。ガザ地区南部の主要都市であるハンユニスでは、10月9日朝、生存者を見つけ出そうと、イスラエル軍の空爆によって破壊された建造物の破片や瓦礫を取り除いていた住民たちが目撃されている。

他の前線でも緊張は高まっている。レバノンのヒズボラは、国境を越えてミサイルをイスラエルに向けて発射したと発表した。これに対して、イスラエル軍は砲撃によって応戦したと述べた。

パレスチナ保健省は、イスラエル占領下にあるヨルダン川西岸地区のジェニン市とその市内の難民キャンプに対するイスラエル軍の急襲で、パレスチナ人10人が死亡したと発表した。イスラエル軍は、テロリスト対策の強制捜索を行っていたと述べた。

ロイター通信

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