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フランクリー・スピーキングでサウジの援助がガザをどう変えるかを特集

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04 Dec 2023 04:12:23 GMT9
04 Dec 2023 04:12:23 GMT9
  • KSrelief管理者は、サヘム・プラットフォームを通じたサウジアラビアの記録的金額の寄付について、パレスチナ人支援に対するアラブ世界のコミットメントの証であると述べた
  • アブドゥラー・アル・ラビーア博士は、援助提供に対して課されたイスラエルによるの「疲弊した」プロセスを批判し、エジプト当局の「有益な」協力を称賛した

アラブニュース

ドバイ:サウジアラビアの援助機関、サルマン国王人道援助救援センター(KSrelief)KSreliefの管理者であるアブドゥラー・アル・ラビーア博士は、サウジアラビア政府および国民からのガザへの支援は、パレスチナ人支援に対するアラブ世界のコミットメントを示すものだと述べた。

同氏は、サウジアラビア人がKSreliefのプロジェクトに直接寄付することができる、サウジアラビアのサヘム・プラットフォームを通じた窮地にあるガザ地区への寄付が、既に5億3625万サウジアラビアリアル(1億4300万ドル)以上集まっていることに注目するだけで十分だと示唆した。

「証拠と数字を否定することは誰にもできないし、サヘム・プラットフォームは世界中で閲覧されていると考えている」と、熟練の小児外科医でもありサウジ王宮の顧問でもあるアル・ラビーア博士は、アラブニュースの週刊時事番組『フランクリー・スピーキング』の最新エピソードの中で語った。

慢性的な貧困に苦しみ、食糧難に陥っているガザ地区では、10月初旬にイスラエルとハマス間で紛争が勃発する以前から、人道援助と開発援助が切実に必要とされていた。

イスラエル軍による同地区への爆撃は、ハマスによるイスラエルへの一連の攻撃と誘拐の後、10月7日に開始した。ガザ保健当局によると、以来、1万5000人以上(そのほとんどが民間人)がガザで命を落としたという。

イスラエルの空爆は一向に収まる気配がなく、人道的状況が悪化する中、サルマン国王とムハンマド・ビン・サルマン皇太子は11月2日、サヘムを通じてガザのための募金活動を開始すると発表した。

わずか5日間で、寄付金は3億7500万リアルを超えた。サルマン国王とムハンマド・ビン・サルマン皇太子自身も、それぞれ3000万リアルと2000万リアルを寄付した。

サウジアラビアの人道支援活動の長い歴史上でも、「最大かつ最速の募金活動の一つ」である寄付金額の多さだけでも、アラブ世界がガザのことをを気にかけていないとする多くのメディア報道を一蹴するものだ。

アル・ラビーア博士は『フランクリー・スピーキング』の取材に対し、イスラエル当局は援助トラックの台数に制限を設け、長々とした検査プロセスを実施しているため、食料、避難所用物資、医薬品の輸送に致命的な遅れが生じる可能性があると述べた。(AN写真)

アル・ラビーア博士は、『フランクリー・スピーキング』の司会者ケイティ―・ジェンセンに対して、寄付について次のように語った。「私たちはまだ寄付を止めていない」。

「寄付者数は100万人を突破しましたが、これはガザ市民の苦境や人道的状況に対す

同氏は、寄付金は今後も増え続けるだろうとし、この記録的な寄付額には現物寄付は含まれていないと付け加えた。

 「我が国の企業家は、救急車、医療機器、食料品、栄養価の高い食品、子供用の粉ミルクを寄付している。これらはプラットフォームには反映されておらず、寄付の実額はさらに巨額だ」。

サウジアラビアの援助第1陣は、11月25日にポートサイドに到着し、1000トンを超える食糧、医療品、避難所用物資がガザに向かった。

第3次救援船は土曜日にジェッダ・イスラム港を出港し、1246トンの食糧、医療品、避難所用物資を積んだ300個の大型コンテナを輸送している。

サウジアラビアの最初の救援機は、11月9日リヤドを出発し、35トンの援助物資を積んでエジプトのエル=アリーシュ空港に向かった。12月1日までに、KSreliefはガザへの第24次救援機を運航し、31トンの食糧と避難所資材を運んだ。

ガザの人々への物的支援が不足していないのは確かだが、アル・ラビーア博士は、援助物資がガザ地区に届くまでにイスラエル当局が課してきたプロセスを非難している。

同氏は、サウジアラビアからガザへの援助が到着するエル=アリーシュ空港や、エジプトとガザを結ぶ唯一の国境であるラファ国境を最近査察した様子をもとに、「状況は厳しい」と語った。

彼は、援助トラックは「イスラエル軍の検査と許可を受けるために50キロメートル以上を進み、その後50キロメートル戻ってこなければならない」と指摘した。

「各トラックに許可を出すための検査は何日もかかり、しかもラファ回廊を通らねばんらない。これだけでも大きな難題だ。これが、非常に困窮している人々への援助を遅らせている」とも述べた。

アル・ラビーア博士は、国連がガザには1日最低400台の援助トラックが必要だと言明しているのに、イスラエル当局は毎日最多でも約140台しか許可していないと述べた。

こうした障害は生死にかかわる問題となる可能性があり、妊婦、子ども、高齢者、負傷者など、特に脆弱な立場にある人々にとって遅れは許容できないと指摘した。

KSreliefの管理者であるアブドゥラー・アル・ラビーア博士が、UNRWAのフィリップ・ラッツァリーニ総監とエジプトで会談した。(SPA)

 「我々は、一分一秒を争う命の話をしている。つまり、遅れが生じれば、医師としての私の知識によれば、死の危険性があるということを意味する」。

「毎分、毎時間を大切にし、子どもたちのための栄養や大人のための食料、それに生命を維持するための医薬品を積んだトラックをできるだけ多く許可せねばならない」。

アル・ラビーア博士は、もっと深刻で明白な危険が、地上には存在しており、 サウジアラビアがパレスチナ人を支援するためにもっと多くを実行することを妨げていると述べた。

学者、人道援助機関、メディアからの複数の報告書が、イスラエル軍がガザで避難所、難民キャンプ、病院、救急車を標的にして、医療・援助従事者を殺害していると非難している。

国連さえもイスラエルの標的となっており、10月にイスラエルの軍事作戦が始まって以来、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の職員100人以上が死亡したと報告されている。

アル・ラビーア博士は、 「私にとって、誰かが援助従事者や医療従事者を攻撃して実際に故意に殺したり、病院やモスクや教会まで攻撃されるのを見るのはつらい」と言う。

「これらの行為は、我々の知るあらゆるルールに反しており、国際人道法にも、人間の原則にも反している。我々は、こうした攻撃が直ちに停止し、民間人、医療従事者、人道支援従事者が攻撃されたり、標的にされたりしないことを望む」。

同氏は、彼らの安全が保証されるのであれば、KSreliefからガザでの人命救助のためにボランティアの医療従事者を派遣する用意がある、と語った。

「治安状況が許せば、私のチームは喜んでガザに赴き、切実に援助を必要としている人々が受け取れるようにするつもりだ。また、(援助の)分配が適切かどうかも確認したい」と付け加えた。

アル・ラビーア博士によれば、克服すべき障害があるにもかかわらず、地元や地区当局は、人道的援助を届けるために最善を尽くしているという。

KSreliefは、UNRWA、世界食糧計画、世界保健機関、赤十字国際委員会など、複数の国際機関と協定を結んでいる。

「国連機関や国際機関、それにエジプト赤新月社やパレスチナ赤新月社などの地域機関と連携するため、エル=アリーシュにも我々のチームがいる」とも述べた。

アル・ラビーア博士は、エジプト当局は非常に協力的で、KSreliefの活動の助けになっていると述べた。(AN写真)

「リヤドからエル=アリーシュへの救援機は日々継続されており、海上輸送も行われている。我々は、ラファ回廊の近くに十分な物資を確保し、できるだけ早く物資にアクセスできるようにするため、これらの救援船や救援機の運航を続ける計画だ」。

KSreliefとエジプト赤新月社は11月23日、ガザへの援助物資の輸送協力に関する覚書に調印し、陸路と空路による援助物資の輸送を円滑化した。

アル・ラビーア博士は、「エジプト当局は非常に協力的で、我々の活動の助けになっている。エル=アリーシュ空港でも、ポートサイド港でも、我々の活動に大いに協力してくれている」。

KSreliefはまた、「彼らの物流ニーズが満たされるように」、パレスチナ赤新月社やUNRWAと何度もオンライン会議を開いたとも述べた。

ガザ支援という大仕事の調整をするのに加え、アル・ラビーア博士には個人的にもガザとのつながりがある。

サウジアラビアの『結合双生児分離プログラム』の一環として、博士は結合双生児を分離する手術を過去30年間に何十例も行い、その過程で同国を分離手術の世界的リーダーへと押し上げた。

そうした手術の一つが、手術のためサウジアラビアへの入国が許可された後、アル・ラビーア博士が2018年に双子の妹ファラちゃんから分離した「ハニーンちゃん」のケースである。ファラちゃんは死亡したが、ハニーンちゃんはガザに戻って回復するに至った。

パレスチナ児童救済基金は、今年5月にハニーンちゃんが健在だと報告したが、現在の状況は不明である。

アル・ラビーア博士は、 「ハニーンちゃんは生きているのか、彼女の両親は生きているのか、それともサウジアラビアが成し遂げてきた活動の成果は完全に失われてしまったのか、今日の時点では分からない」と述べた。

「ハニーンちゃんと両親が存命だと判明するまで、私は辛い思いを抱えたままだ」。

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