ラマッラー:イスラエル軍は12月28日(木)、ヨルダン川西岸地区のラマッラーにある外貨両替所と送金機関を急襲し、イスラム武装組織ハマスへの資金源と疑われる数百万米ドルを差し押さえたと発表した。
パレスチナ自治政府の所在地であり、ヨルダン川西岸地区の主要都市であるラマッラーの中心部で、パレスチナ保健省によるとその際のイスラエル軍とパレスチナ人間の衝突で、少なくとも1人が死亡、14人が負傷した。
イスラエル軍の声明によれば、ヨルダン川西岸地区各地で行われたこの急襲を実行したのは警察、陸軍およびイスラエル総保安庁(シンベト)の構成員たちで、ラマッラーのほか、ヨルダン川西岸地区北部のトゥルカルム、ジェニン、そして南部のヘブロンで21人が逮捕者された。
イスラエル軍は「作戦中、テロリストの資金源が発見され、数千万シェケルや複数の金庫、書類、録音機器、電話機が押収された」と述べた。
また軍によれば、この作戦では金融サービス機関以外に暗号資産も標的とされ、捜査にはサイバー犯罪の特殊部隊が参加しているという。
複数個所で衝突が発生しており、イスラエル軍によると爆発物や火炎瓶、石を投げつけられた兵士が発砲した。
ジェニンでは、部隊を襲撃した戦闘員たちをイスラエル機が爆撃したともという。
イスラエル治安部隊は、ハマスによる今年10月7 日のイスラエル南部への襲撃以降、ガザ地区での反撃を強化しながら、ヨルダン川西岸地区各地でも攻撃を強めている。
イスラエル政府当局者によれば、ガザ地区で2007年に権力を掌握したハマスや、イスラム聖戦機構といった他の武装組織は、民衆からの支援やイランから数百万米ドルの財政支援を受けながら、自らの勢力をヨルダン川西岸地区で着実に広げてきた。
10月7 日以前もハマスは、ヨルダン川西岸地区の入植地のイスラエル人襲撃しており、イスラエル治安部隊の攻撃もほとんど毎日行われていたが、攻撃の頻度はこの数週間で急激に増大している。
ユダヤ人入植者によるパレスチナ人への襲撃も増加しており、アメリカや他の西側諸国は懸念を深めている。
国連人権高等弁務官 (OHCHR)によると、今年10月7 日以降パレスチナ人4千785人が逮捕されたほか、ヨルダン川西岸地区や東エルサレムでのイスラエル軍との衝突で少なくとも291人が殺害されたという。
OHCHRが 12月28日(木)に公表した報告書によれば、ヨルダン川西岸地区の人権状況は「急速な悪化」を見せている。報告書では、大半の殺害事例はイスラエル治安部隊の作戦実施中か、治安部隊との衝突中に発生したという。
OHCHRは、報告書にはパレスチナ人に対する恣意的な大量拘束、不法な拘束のほか、拘留者への拷問、虐待の報告も記録されていると述べている。
イスラエル首相府の広報官は報告を「ばかげて」おり「言語道断」であると切り捨てた。広報官は、イスラエルはヨルダン川西岸地区からの安全保障上の大きな脅威に直面しており、自衛のためパレスチナ人の逮捕を今後も続けると述べている。
10月7日の襲撃事件に先立つ18か月間、ヨルダン川西岸地区はここ数十年で最も不穏な状況を経験していた。
ヨルダン川西岸地区、ガザ地区、東エルサレムにパレスチナ人国家の成立を目指すアメリカの仲介による和平交渉は、10年ほど前から行き詰っている。交渉の再開はガザでの戦争の前から不透明になっていた。
ロイター