米国務省は29日、アントニー・ブリンケン国務長官が議会に対し、イスラエルが以前購入した155mm榴弾砲用の装備品、信管、装薬、雷管を含む1億4750万ドルの売却を承認したと発表した。

ガザ地区、デイル・アル・バラ： ベンヤミン・ネタニヤフ首相は30日、ガザのハマスに対するイスラエルの戦争は「さらに数カ月」続くと述べ、国際社会から繰り返されている停戦の要求を退けた。包囲された同地区では、民間人の死、飢餓、大規模な避難が進行中である。

ネタニヤフ首相は、今月2回目となる新たな緊急武器売却の承認や、即時停戦を求める国連安保理決議の阻止など、バイデン政権の継続的な支援に謝意を示した。イスラエルは、現時点で戦争を終結させることは、ハマスの勝利を意味すると主張している。バイデン政権もこれに同意しつつ、同時にイスラエルに対し、パレスチナ市民への被害を避けるためのさらなる努力を求めている。

新たな戦闘では、イスラエル軍の戦闘機が30日、ガザ中心部にあるヌセイラトとブレジの都市型難民キャンプを攻撃し、地上部隊は南部のハーン・ユーニスへの進攻を深めた。

ガザの保健省は30日、10月7日のハマスによるイスラエル南部への致命的な攻撃以来、イスラエルによる前例のない規模の空爆と地上攻撃により、2万1600人以上のパレスチナ人が死亡したと述べた。同省は死者数の発表において市民と戦闘員を区別していないが、過去24時間で165人のパレスチナ人が死亡したと述べている。死者の約70％は女性と子どもだという。

ガザの戦闘におけるイスラエル兵の死亡者数は、30日に軍が2人の死亡を発表し、170人に増加した。

戦争により、ガザ住民230万人の約85％が避難を余儀なくされ、軍が攻撃を継続している中、多くの人々はイスラエルが指定した安全地帯を求めて移動している。パレスチナ人は、この小さな飛び地にもはや安全な場所はないという感覚を抱いたままだ。

今週、イスラエル軍が地上攻撃を拡大したことで、すでに過密状態にあったガザ最南端の都市ラファに、さらに何万人ものパレスチナ人が流れ込んできた。

ラファの郊外には、国連倉庫の隣に何千ものテントや仮設の小屋が立ち並んでいる。避難民は徒歩で、あるいはマットレスを山積みにしたトラックや荷車でラファに到着した。過密な避難所に居場所を見つけられなかった人々は、道路沿いにテントを張った。

「水がない。十分な食料もない」と、避難民の女性ヌール・ダヘルさんは30日に広大なテントキャンプ地から語った。「子供たちは朝起きると、食べたい、飲みたいという。子供たちのために水を探すのに1時間かかった。小麦粉を持ってくることもできなかった。トイレに連れて行くにも、歩いて1時間かかった」

ヌセイラト・キャンプの住民ムスタファ・アブ・ワウィさんは、自分の親族の家に攻撃があり、2人が死亡したと語った。

「イスラエル占領軍は、人々を強制退去させるためにあらゆることをしている」と彼はがれきの下で行方不明になっている4人の捜索を手伝いながら電話で語った。「彼らは私たちの精神と意志を打ち砕こうとしているが、失敗に終わるだろう。私たちはここに留まる」

米国はイスラエルにより多くの武器を提供

米国務省は29日、アントニー・ブリンケン国務長官が議会に対し、イスラエルが以前購入した155mm榴弾砲用の装備品、信管、装薬、雷管を含む1億4750万ドルの売却を承認したと発表した。

バイデン政権が議会を迂回してイスラエルへの緊急武器売却を承認するのは今月2度目である。ブリンケン氏は12月9日にも同様の決定を下し、1億600万ドル以上に相当する約1万4000発の戦車弾薬のイスラエルへの売却を承認した。

これらの動きは、ジョー・バイデン大統領が提案しているウクライナ、イスラエル、その他の国家安全保障ニーズに対する約1060億ドルの支援パッケージが、米国の移民政策や国境安全に関する議論に巻き込まれ、議会で停滞している中で行われた。民主党の議員の中には、中東の同盟国イスラエルに対する米国の143億ドルの援助案について、ネタニヤフ政権がハマスとの戦争中にガザで民間人の犠牲者を減らすための具体的な措置を講じることを条件にするべきだと提案する者もいる。

戦争のタイムライン

ブリンケン氏は、戦争中何度も中東を訪れており、1月に再びイスラエルや他の地域国を訪問する予定だ。米国当局はイスラエルに対し、高強度の戦闘からより標的を絞った作戦への移行を開始するよう促しているが、期限を設けているわけではない。

ネタニヤフ首相は、イスラエルにはされに時間が必要だと述べている。

「参謀総長が今週述べたように、戦争はあと何カ月も続くだろう」と彼は30日のテレビ会見で述べた。「私の方針は明確だ。戦争の全ての目標を達成するまで、特にハマスの壊滅と全ての人質の解放まで、戦いを続ける」

ガザには120人以上の人質が残っている。10月7日の攻撃で同武装勢力は民間人を中心に約1200人を殺害し、240人以上を拉致した。

ネタニヤフ氏は、戦後のガザを誰が統治するかという点でもバイデン政権と意見が対立している。彼は、最終的な国家樹立の前段階として、パレスチナ統一政府がガザとイスラエル占領下のヨルダン川西岸地区の両方を運営すべきだという、米国が支持する考えを拒否している。その代わり、彼はガザにおける無期限のイスラエルによる安全保障管理を主張しているが、その後に何が起こるかについては言及していない。

人質の交換

人質の家族と支持者たちは、政府に対し、他の戦争目標よりも人質の解放を優先するよう要求し、土曜日を含む毎週末に大規模な抗議を行っている。

イイスラエルとハマスの仲介国のひとつであるエジプトは、11月に実施された1週間にわたる休戦中に行われた人質交換のような、一時的な戦闘停止を伴う人質と囚人の交換から始まる多段階の計画を提案している。

ハマス側は、人質解放を話し合う前に戦争を終結させなければならないと主張している。ベイルートのハマス高官オサマ・ハムダン氏は30日、この立場を繰り返したが、APの取材に対し、エジプトの提案について「今のところ最終的な回答はしていない」とも語った。

合意に向けた進展の可能性について質問されネタニヤフ首相は30日。「動きの可能性はあるかもしれない」と述べたが、「過度の期待」を抱かせたくはないと述べた。

困難な援助提供

国連安全保障理事会の決議が、包囲されたガザ全域で障害なく大規模な援助の提供を求めてから1週間以上が経過しているが、状況は悪化していると国連機関は警告している。

援助関係者によれば、ガザに入る援助物資は依然として極めて不十分だという。物資の配給は、2つの検問所での長時間の遅延、継続する戦闘、イスラエル軍の空爆、インターネットや電話サービスの度重なる遮断、援助物資輸送団の安全を確保することを困難にする法と秩序の崩壊により、妨げられているという。

国連パレスチナ難民救済事業機関（UNRWA）のフィリップ・ラザリーニ事務局長によると、現在はほぼ全ての住民が外部からの人道援助に完全に依存しているという。国連の日報によれば、食料、医薬品、燃料、その他の物資を運ぶトラックがあまりに少なく、1日に100台にも満たないこともあるため、人口の4分の1が飢餓状態にあるという。

AP