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イスラエルによるヒズボラ拠点の侵害 ベイルートはついにガザ戦争に巻き込まれるのか?

2日の夜、ベイルートでハマスの幹部がドローンによる攻撃で殺害された。(AFP)
2日の夜、ベイルートでハマスの幹部がドローンによる攻撃で殺害された。(AFP)
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04 Jan 2024 12:01:25 GMT9
04 Jan 2024 12:01:25 GMT9
  • ヒズボラが大規模な報復で全面戦争に発展するリスクを冒す可能性は低いと、一部のアナリストは語る。
  • 攻撃はレバノンやヒズボラを標的にしたものではないというイスラエルのメッセージは、ヒズボラ書記長ハッサン・ナスラッラー師に「この窮地から抜け出す口実」を与えたと述べている。

タレク・アリ・アフマドアナン・テッロ

ベイルート:2日夜、ベイルートのヒズボラ支配地域ダヒエでイスラエルの攻撃によりハマス幹部、サレハ・アルアルーリ氏が殺害された疑いが持たれる中、オンラインサロンやソーシャルメディアのフォーラムでは同じ質問が繰り返されていた。「次は何が起こるのか?」

10月7日の襲撃、それに続くイスラエルによるガザへの激しい爆撃以来、すでに極度の不安を感じているこの地域の住民は、ベイルート南部郊外の燃え盛る建物の映像がオンラインで広がった時、言葉を失った。

イランにとって最強の代理勢力であるヒズボラは、レバノン南部の国境地帯でイスラエル軍と交戦を続けており、戦闘は主に限定されたエリア内で行われている。しかし、2日夜に発生した首都への攻撃は、イスラエルの攻撃としては最も北側に食い込むものであり、2006年の戦争以来初のものとなる。

「多くの人々が、ヒズボラおよびイランによる、何らかの報復があると予想しているだろう。しかし、私はそうは思わない。特に、アルアルーリを標的にしたこと、そしてイスラエルがベンヤミン・ネタニヤフ首相顧問を通じて、攻撃はハマスを対象としたものであり、レバノンやヒズボラを狙ったものではないという直接的なメッセージを送ったことから、ヒズボラ書記長ハッサン・ナスラッラー師はこの窮地から抜け出す口実を見つけ出すだろう」と、アメリカン大学ベイルート校の歴史学助教授で政治アナリストのマクラム・ラバ氏はアラブニュースに語った。

ヒズボラは攻撃後に声明を発表し、この行為は「レバノンへの深刻な攻撃」であり「敵対勢力と抵抗枢軸との戦争の課程における危険な発展」だと述べた。同様に、ハマスの指導者イスマイル・ハニエ氏はこれをテロ行為であり、レバノンの主権侵害であると述べた。

この標的攻撃で少なくとも6人が死亡したが、その全員がハマスの一員、あるいはハマスに関与していたと伝えられている。イスラエル軍はコメントを拒否したが、ネタニヤフ首相の顧問を務めるマーク・レゲブ氏は次のように述べた。「それを行った者が誰であれ、これはレバノン国家への攻撃ではないことを明確にする必要がある。これはハマス指導部に対する局地的な攻撃だった」

ラバ氏はまた、この10日間、シリアでイランのイスラム革命防衛隊(IRGC)の要人や幹部に対する標的攻撃が15回以上行われ、そのうちの1回でレザ・ムサビ上級司令官が殺害されたが、それに対する重要な形の報復はなかったと指摘した。

しかし、中東研究所のアウトリーチディレクター、フィラス・マクサド氏は、これらの攻撃はヒズボラを困難な立場に追い込むことになるため、懸念すべき点があると見ている。

「レバノン国内での暗殺行為に関しては、厳しい対応を余儀なくされるというハッサン・ナスラッラー師の明確な警告を無視することで、イスラエルはヒズボラを難しい立場に追い込んでいる」とマクサド氏はアラブニュースに語った。

「選択肢として、ヒズボラは応戦し、望まないイスラエルとの大規模な戦争に発展するリスクを冒すか、あるいは屈服し、イスラエルに交戦規則を書き換えさせ、その抑止力の欠如により、さらなる暗殺が行われる扉を開けることになるかだ」

「今日(2日)の攻撃の後、ヒズボラにとって、「グレーゾーン戦争」――全面戦争はしないが、イスラエルとの国境は平穏ではない――を恣意的に選択し、これを泥沼化することは非常に難しくなった。ヒズボラは今、報復か降伏かの極めて重要な選択を迫られている」。

10月7日の攻撃で1200人のイスラエル市民が死亡し、その後に行われたガザでの激しい空爆により、女性と子供を中心に2万人のパレスチナ市民が死亡した。この攻撃は世界的に非難されている。

この紛争は長期化すると言われており、まだ平和への道が見えていないが、レバノン首都でのアルアルーリ氏の殺害は、多くの人々にとって軽視できない重要なエスカレーションと見なされるだろう。しかし、他の人々の中には、より広い政治的な枠組みの中で、戦争当事者間の象徴的な打撃にすぎないと見なす者もいる。

「レバノンはこの戦争の一部ではないし、ヒズボラも、私が以前強調したように、ヒズボラは何もしないだろう」と、歴史学教授のラバ氏は付け加えた。

「おそらくヒズボラのグラフィックデザイナーたちは、ナスラッラー師がスピーチを行う際の背景にナスラッラー師の顔と名前を追加しているだろう。彼は、エルサレムへの道のりの中における、いわゆる殉教者のリストに加わることになるのだろう」

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