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イスラエル閣僚、戦闘激化中のガザ地区の戦後計画案を発表

ハマス支配下のガザ地区の保健省も、過去24時間で162人の死亡を記録したと発表した。(AFP / 資料画像)
ハマス支配下のガザ地区の保健省も、過去24時間で162人の死亡を記録したと発表した。(AFP / 資料画像)
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06 Jan 2024 07:01:39 GMT9
06 Jan 2024 07:01:39 GMT9
  • イスラエル軍は、過去24時間で「100以上の標的を攻撃した」と発表した
  • ハマス支配下のガザ地区の保健省は、過去24時間で、162人の死亡を記録したと発表した

エルサレム:イスラエルの国防相は、ガザ地区の戦後の統治についての計画案を始めて公式に提示した。ガザ地区の当局者は、1月5日、容赦のない空爆や砲撃により、過去24時間で非常に数多くの人々が死亡したと発表した。

ヨアフ・ガラント国防相の「戦後」計画案は、1月4日遅くにメディアに公開されたが、イスラエルの戦時内閣では依然として採択に至っていない。この計画案では、イスラエルもハマスもガザ地区を統治せず、また、将来のユダヤ人入植も認めないとされている。

ガラント国防相の提示した戦後計画案の大枠は、戦争の契機となった10月7日のハマスによる襲撃以来、4回目となる米国のアントニー・ブリンケン国務長官の中東地域歴訪の直前に発表された。

国際的な停戦要求にも関わらずイスラエルが軍事作戦の継続に固執する一方、包囲下のパレスチナ領域であるガザ地区の将来をめぐる関心と懸念が急速に高まっている。

ガザ地区の広い範囲が瓦礫と化してしまい、民間人死亡者数は急増し、国連は退避を余儀なくされた数十万人が飢餓と病患のリスクに直面する人道危機の警告を発している。

AFP特派員によると、ハーン・ユーニスやラファの南部地域、ガザ中央部の数箇所を対象とした空爆が夜通し行われたという。

イスラエル軍は、過去24時間で、ガザ地区全域で軍事拠点やロケット弾発射施設、武器貯蔵庫を含む「100以上の標的を攻撃した」と発表した。

ハマス支配下のガザ地区の保健省も、過去24時間で162人の死亡を記録したと発表した。

1月5日にガザ地区の死亡者総数は22,600人に増加。(AFP)

イスラエル軍は、声明で、イスラエル軍戦車への攻撃が未遂に終わった後、戦闘機によりブレジ難民キャンプの中央部を夜を徹して攻撃し、「武装したテロ組織の下部集団」を撃破したと発表した。

また、戦闘の焦点となっているガザ地区南部の主要都市ハーン・ユーニスにおける衝突でパレスチナ人戦闘員「多数」を殺害したとイスラエル軍は発表した。

ガラント国防相の提示した戦後計画案の概要では、イスラエルがハマスの「軍事力と統治能力を解体」し解放された人質を確保するまで戦争は継続されるとなっている。

イスラエルがその目標を達成した後(その期限についてガラント国防相の戦後計画案は予定や見通しを立てていない)、パレスチナの「市民委員会」がガザ地区の統治を開始することになると同国防相の計画案は述べている。

「ハマスがガザ地区を統治することはなく、(そして)イスラエルがガザ地区を統治することもない」とガラント国防相の戦後計画案は述べているが、具体的な詳細はほとんど示されてはいない。

「イスラエル国家に対して敵対的行為や脅迫を行わないという条件の下、パレスチナ人による組織・機関が統治を行うことになる」

イスラエルの公式発表数値に基づくAFPの集計では、武装組織ハマスによる10月7日の襲撃により民間人が大半を占める約1,140人が死亡し、その後、イスラエルはハマスに対する軍事作戦を開始した。

イスラエルによると、武装勢力は約250人を拉致し人質とし、その内132人は未だ拘束されたままである。殺害されたと見られる少なくとも24人もこの人数に含められている。

ガザ地区の保健省によると、イスラエルの容赦ない空爆と地上侵攻によって、少なくとも22,600人が死亡し、その大半が女性や子供だという。

ガザ地区の民間人が置かれている状況は危機的である。国連は、190万人が自宅からの退避を余儀なくされていると見積もっている。

AFPTVの映像には、いくつものパレスチナ人大家族が、戦火から逃れ安全を求めて、過積載された自動車や徒歩でガザ地区南部の国境沿いの都市ラファに到着する様子が収められていた。

「私たちはジャバリア難民キャンプから(ハーン・ユーニスの)マーンに逃げてきました。そして、今は、マーンからラファに逃げているところです」と、匿名のある女性は語った。「水も電気も食べ物も(私たちには)無いのです」

国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の報道官は、ラファは、現在、退避する人々の流入に圧倒されているとAFPに語った。

「都市ラファの人口は、通常であれば、25万人程度に過ぎません。ところが現在では、130万人を超えています」と、UNRWAのアドナン・アブ・ハスナ広報官は語った。

「ラファにおいて、最近、人々の健康状態が大幅に悪化している」事と、疾病の「著しい蔓延」を「UNRWAは昨今認識しています」と、ハスナ広報官は付け加えた。

10月7日に武装組織ハマスによる襲撃を受け、イスラエルはハマスに対する軍事作戦を開始した。(AFP / 資料画像)

ラファ緊急委員会のアハメド・アルスーフィ委員長は、難民を収容するために5万張のテントが緊急に必要となっていると述べた。

ガザ地区内で現在も稼働している希少な医療施設の1つであるハーン・ユーニスのアルアマル病院において、敷地内に避難中の生後5日の乳児を含む7人の避難民が殺害されたと、パレスチナ赤新月社が発表した。

赤新月社は、この地域で1月5日に新たに砲撃と無人機を用いた攻撃があったことを報告し、3日間の空爆により近隣ではさらに数十人が死亡したと発表した。

米国のブリンケン国務長官はイスラエル訪問中に同国指導者らと「ガザ地区への人道支援の大幅な増加のための即時的措置」について協議する予定だと国務省のマシュー・ミラー報道官は語った。

ドイツのアンナレーナ・ベアボック外相も中東歴訪を行う予定で、まず1月7日にイスラエルを訪問し、パレスチナ側の指導者たちとも会談を行うとドイツ外務省の報道官は述べた。

ベアボック外相は「ガザ地区の悲劇的な人道状況」やイスラエル・レバノン国境の緊張について話し合う予定であるとドイツ外務省のセバスチャン・フィッシャー報道官は語った。

イラン・ハマス戦争の開始以来、包囲下のガザ地区への援助物資の輸送は遅々として進まない。

国連人道問題調整事務所(OCHA)は、1月4日、「アクセスの遅延・拒絶」と活発な戦闘のため、ワディ・ガザ(ガザ市を含む地域)北部に「緊急に必要とされる救命」援助物資を4日間にわたって届けることが出来ていないと発表した。

ガザ地区における戦争と、10月7日以来ほぼ連日の国境越しの銃撃戦は、イスラエルの北側の国境に接する諸国を戦火の地域規模への拡大に巻き込む恐れがある。

1月2日にレバノンに対して行われた攻撃はイスラエルによるものだと大多数の人々に考えられているが、この攻撃によりハマスの副指導者サレハ・アルアルーリ氏が死亡している。

それは、イランの支援を受け強い勢力を誇る「ヒズボラ運動」の本拠地であるベイルートに向けられた攻撃だった。

ヒズボラはその本拠地で実行された殺害が、返報を受けずに済むことは無いと明言した。他方、イスラエル軍のハレヴィ司令官は、国境近辺に展開しているイスラエル軍部隊は「完全な臨戦態勢にある」と述べた。

イスラエル軍は、1月5日、レバノン国境を越えた至近の位置にあるヒズボラの標的に対して自軍戦闘機が新たに攻撃を行ったと発表した。

国連の国際移住機関は、1月4日、頻繁な砲撃により国境のレバノン側では76,000人が自宅からの退避を余儀なくされたと発表した。イスラエルは、今回の戦争の初期段階の数週間に、数千人の民間人を国境地帯から避難させている。

AFP

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