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フーシ派、アデン湾での攻撃で米国の船舶を直撃と発表

2023年11月20日に公開されたこの写真では、貨物船Galaxy Leader号が紅海でフーシ派のボートに護衛されている。(ファイル / ロイター通信)
2023年11月20日に公開されたこの写真では、貨物船Galaxy Leader号が紅海でフーシ派のボートに護衛されている。(ファイル / ロイター通信)
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19 Jan 2024 05:01:21 GMT9
19 Jan 2024 05:01:21 GMT9
  • 米国は、紅海に向けて発射の準備をしていたフーシ派の対艦ミサイルに対して新たな攻撃を実施した
  • バイデン大統領は、フーシ派の陣地に対する攻撃を継続すると発言した

サヌア / ニューデリー:イエメンの反政府勢力フーシ派は金曜日早朝、アデン湾で米国の船舶にミサイル攻撃を行ったと発表した。

フーシ派はソーシャルメディアに投稿した声明の中で、同組織の「海軍」部隊が「数発の海戦に適したミサイルで」Chem Ranger号を攻撃し、「ミサイルは直撃した」と伝えた。

国際航路における今回の攻撃の時間やその他詳細については明らかにされなかった。

専門ウェブサイト「マリントラフィック」は、Chem Ranger号がサウジアラビアのジェッダからクウェートに向けて航行していた、マーシャル諸島船籍のケミカルタンカーであることを特定した。

英国の海事リスク管理会社アンブリーは、この航路を航行していたマーシャル諸島のケミカルタンカーが、無人機の「不審な」接近を通報していたことを発表した。

そして、1機はこのタンカーから約30メートルのところで海に落ちたと付け加え、「インドの軍艦がこの事案に対応した。乗組員の死傷や船への被害は報告されていない」と伝えた。

この地域の海上航路における緊張の高まりにより、世界貿易が混乱し、供給のボトルネックがインフレを再燃させる可能性があるとの懸念が大きくなるなか、木曜日に米国は、紅海に向けられたフーシ派の対艦ミサイルに対して新たな攻撃を行った。

米軍は、今回の攻撃の標的となったフーシ派の対艦ミサイル2発は、紅海に向けて発射する準備が進められており、同地域の船舶や米海軍艦艇に対する「差し迫った脅威」とみなされていたと発表した。

11月以降、イランと同盟を結ぶフーシ派武装組織による紅海およびその周辺の船舶への攻撃により、アジア・ヨーロッパ間の貿易が停滞すると同時に、ガザ地区におけるイスラエルとパレスチナ武装勢力ハマスとの戦争激化に主要国が警戒を強めている。

この地域で米国が運航する船舶への今週二度目の攻撃後、インド海軍はアデン湾でGenco Picardy号の乗組員を救助したと発表した。同船は水曜日遅くに攻撃を受け、船内で火災が発生した。

フーシ派は、パレスチナ人との連帯を示すために行動していると話し、同組織の陣地に対する米英の攻撃に対抗して、米国の船舶を標的にすると脅している。

安全保障と軍事の専門家らによると、ジョー・バイデン米大統領が推進する戦略は、限定的な軍事攻撃と制裁を組み合わせたもので、米国政府がフーシ派を懲らしめようとする一方で、より広範な中東紛争への発展を防ぐことを目的としているようだという。

バイデン大統領は木曜日、米軍の攻撃がフーシ派の攻撃抑止にならなかったことを認めたものの、米軍の対応は継続すると述べた。

「米軍はフーシ派を止めているのか?ノーだ。攻撃は続けるつもりか?イエスだ」とバイデン大統領はエアフォースワンの機内で記者団に語った。

フーシ派による船舶攻撃の試みが衰えることなく続くという直近の兆候のなかで、英国の海上警備会社アンブリーは、イエメンのムカッラー南東約87マイルのところで、マーシャル諸島船籍の米国所有タンカーから、無人機4機が接近し、同船上空を旋回したとの報告を受けたと発表した。

「報告によると、そのうち1機は海に落ちた。船の損傷や負傷者は報告されていない。このタンカーは影響を受けず、航海を続けた」とアンブリーは告知で述べた。

Genco Picardy号への攻撃を受け、米軍は水曜日に「この地域の商船と米海軍艦艇に差し迫った脅威を与えていた」フーシ派ミサイル14発に対する攻撃を行ったと発表した。

米国家安全保障会議のジョン・カービー戦略広報担当調整官は、エアフォースワンの機内で記者団に対し、木曜の攻撃は水曜のものと同様であったと語った。

今回の攻撃後、インドはGenco Picardy号の乗組員22名(インド人9名を含む)を救出するために、この地域に展開していた軍艦を向かわせた。乗組員は全員無事で、船の火災は消し止められた。

フーシ派は、ミサイルがこのばら積み貨物船に「直撃」したと発表した。海運会社ジェンコはこの攻撃を認め、同社の船がリン鉱石を積んでアデン湾を通過している際に、飛翔体が直撃したと発表した。

スエズ運河の苦悩

これら攻撃は、世界の船舶交通量の約15%を占め、ヨーロッパとアジアの間の重要なパイプとして機能する航路を標的としている。

南アフリカ喜望峰回りの代替航路は、紅海とスエズ運河を経由する場合に比べて、旅程が10~14日余計にかかる可能性がある。

スエズ運河からの収入の急激な減少は、すでに悪化しているエジプト経済に新たな痛ましい打撃を与えている。先週、スエズ運河庁の長官は、1月最初の11日間で収入が40%減少したと発表した。

世界貿易機関は木曜日、スエズ運河経由の小麦輸送量が、1月前半に40%近い減少となる50万トンになったと発表した。

紅海危機はビジネス界に波紋を広げ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック後に活動が活発化した際に浮上した、サプライチェーンの伸長化に対する懸念が再燃している。

航路変更する船舶の増加により給油パターンが変化し、モーリシャスから南アフリカ、カナリア諸島に至るまで、遠く離れた港で船舶が使用する燃料の需要が高まっている。デンマークのマースクや他の大手海運会社は、数百隻の商船に紅海に近づかないように指示している。マースクは木曜日、これら攻撃ならびにヨーロッパにおける天候絡みの港湾閉鎖や航行停止により、複数のコンテナターミナルで混雑が生じる危険性があると顧客に伝えた。

ヨーロッパ最大のロッテルダム港の関係者らは、遅れた船舶が到着し始めるため、1月末から交通の混雑が予想されるものの、深刻な物流上の問題はないだろうとしている。

イタリアとフランスの港は、船舶が地中海の主要航路から遠ざかり、迂回していることを懸念する。

マルセイユ港の責任者クリストフ・カスタネール氏は木曜日の記者会見で、「今日の時点で重大な影響は確認されていないが、懸念はしている」と述べた。

危機が長引いた場合、アフリカ回りで航行する船舶がモロッコに寄港し、貨物を他の船舶に積み替えて、それらが地中海を航行するというシナリオも考えられると同氏は付け加えた。

ロイター / AP

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