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ウーバーと競合するサウジの女性専用企業が初年度に成長を遂げる

当初の需要は良好であることが判明し、乗客からの依頼数にドライバーの数が追い付かないこともある。(提供)
当初の需要は良好であることが判明し、乗客からの依頼数にドライバーの数が追い付かないこともある。(提供)
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15 Jun 2021 08:06:39 GMT9
15 Jun 2021 08:06:39 GMT9

ハダ・アル・シェイル

  • リーナは2020年6月に事業を開始し、すでに平均25%の月次成長率を遂げている

ジェッダ:2018年6月24日は、サウジアラビアに大きな変化のあった日だ。この日、女性の運転が解禁され、女性ドライバーたちがハンドルを握るようになり、サウジアラビア「ビジョン2030」計画の快挙の瞬間のひとつとなった。

それによって女性専用の自動車ショールームができ、何千もの女性たちが教習所の申し込みや運転免許証の申請をし、サウジの女性たちがプロのカーレースで競い、米国自動車メーカーのゼネラルモーターズがアラブニュースに語ったところでは、同社のあるモデルの先月の購入者の65%が女性であったという。

そうなれば、ウーバーやカリームのような破壊的デジタルプラットフォームが登場した現在、女性ドライバーが乗客を乗せる女性専用の事業バージョンが誕生するのも時間の問題であった。

リーナは2019年4月にサウジ政府から正式に認可され、昨年6月に営業を開始した。

同社は女性向けのタクシーサービスを提供し、「キャプテイナー」と呼ばれる同社のドライバーたちは、国際的なライバル企業であるウーバーのようにすべてフリーランスの運転手ばかり。ただし異なるのが、乗客たちもすべて女性のみという点だ。

新型コロナウイルスが猛威を振るう中での創業にも関わらず、需要は高く、平均25%以上の月次成長率を報告している。

リーナは小規模な若い仲間たちのグループが設立した会社で、主要目的は、女性たちに快適な代替手段を提供しながら、それと同時に女性たちの自立を支えていくというものだ。

「私たちは2018年にこのアイデアを思いつきました。女性に運転の権利が認められた頃です」とリーナの共同設立者兼CEOであるムハンマド・アル・アクイール氏はアラブニュースに語った。「私たちは、女性と運転とを中心に据えた企業を設立することの利点と問題点をすべて洗い出し、利点が圧倒的に多いことを発見しました。そのひとつは、女性の失業率を減らすのに貢献できるという点です」

数多くの利点はあるものの、アル・アクイール氏が調査したところ、通常のタクシー利用で女性に共通する難点としては、ハラスメント、プライバシー欠如、最悪の場合には暴力という苦情まであることが分かった。

2019年の創業に合わせてすべての準備が整った一方で、コロナ騒動が大きな課題を突き付けたが、チームはそれらに対処してきたとアル・アクイール氏は言う。

「登録済み『キャプテイナー』の方々全員に、新たに順守すべき新型コロナ関連の規則や条件をすぐさま伝えました」と同氏は述べた。そして、当局はドライバーたちにワクチン接種を義務付けてはいなかったものの、リーナはすべての「キャプテイナー」に接種を働きかけ、その結果、ドライバーたちの大半が接種を受けたのだという。

事業を開始して需要は良好であることが判明し、乗客からの依頼数にドライバーの数が追い付かないこともあるという。「当社のドライバーたちは女性であるため、その多くには優先事項となる家庭の事情があり、また、『キャプテイナー』たちはフリーランスで勤務するわけですから、自分たちの私生活と折り合う勤務時間を選ぶ自由があるということも我々は理解する必要があります」とアル・アクイール氏は述べた。会社は現在この問題に取り組んでおり、運転免許証を取得してチーム参加への認可を待つ新規ドライバーたちを確保している。

リーナは近々、マーケティングによる求人活動を開始してもっと多くのドライバーを勧誘する計画も立てている。「リーナがまだ構想段階にあったときに実施した調査や研究から判断して、我々は良い結果を予測しましたし、大多数の人々がこの構想を気に入って支持してくれていることも分かりました」とアル・アクイール氏は述べた。

リーナは自己資金で運営してきたが、次の段階に拡大させるためには、外部の出資を検討する必要がある。「現時点では、リーナの運営はすべて我々自身の初期の出資金で賄っています。私を含むチームは、投資家を募って株式を販売する投資ラウンドへ乗り出そうとしているところです」とアル・アクイール氏は述べた。

将来を見据えると、地域の競合企業であるカリームはウーバーに31億ドルで買収された。この方向への興味はあるとしながらも、アル・アクイール氏は、リーナを完全に売却してしまうことには乗り気ではない。

「もちろん、オファーがあれば、我々はチームでそれを検討してみますが、リーナの当初の使命や大義を妥協したり放棄したりすることはしません」

「私たちは条件を付けることになりますが、そのひとつは、リーナが引き続き女性専用であることです」とアル・アクイール氏は述べた。「我々は出口戦略についても考察してきましたが、株式の一部は会社に残しておこうと思っています。会社全体を売り払うことはしません」

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