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ガザ攻撃で死者数が増え続ける一方、ネタニヤフ首相はICJの判決に反発

2023年12月25日、イスラエルのネタニヤフ首相(中央)は防護ベストとヘルメットを着用し、ガザ地区北部で司令官や兵士らから安全保障に関する説明を受けた。(AP)
2023年12月25日、イスラエルのネタニヤフ首相(中央)は防護ベストとヘルメットを着用し、ガザ地区北部で司令官や兵士らから安全保障に関する説明を受けた。(AP)
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28 Jan 2024 05:01:07 GMT9
28 Jan 2024 05:01:07 GMT9
  • ガザ攻撃で死者数が増え続ける一方、ネタニヤフ首相はICJの判決に反発
  • イスラエルが市民にラファへの避難を命じた後、100万人以上の人々がラファとその周辺地域に押し寄せた

ラファ(ガザ地区):1月27日、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、国際司法裁判所(ICJ)が軍のガザ攻撃による殺戮と破壊を抑制する判決を下したことに反発を表明し、「我々は、自国の安全のために必要なことを決定し、それに従って行動する」と宣言した。判決後初めて報告された死者の中には、目撃者によるとイスラエルがハマスの司令官を標的にしたという空爆で死亡した3人のパレスチナ人がいた。

国際司法裁判所がイスラエルに対し、1カ月以内に国際法の順守に関する報告を提出するよう求めたことで、イスラエル軍に向けられる視線はますます厳しくなっている。26日に同裁判所が下した拘束力のある判決は、停戦を命じるまでには至らなかったが、その命令は、ガザを支配するハマスに対する約4ヶ月間にわたる戦争でイスラエルが取ってきた行動に対する非難を含んでいた。

人道的災害の中でガザの住民を援助している主な組織である国連パレスチナ難民救済機関(UNRWA)は、戦争の発端となった10月7日のハマスの攻撃にガザの職員の多くが参加したというイスラエルの申し立てを受けて、9カ国が資金援助を停止したと発表した。その中には、アメリカ、イギリス、イタリア、フィンランドが含まれている。

UNRWAのフィリップ・ラザリーニ事務総長は、ガザ住民にとって絶望的なこの時期に、UNRWAとそれが支援するコミュニティに制裁を加えることは、特にUNRWAが職員の「少人数のグループ」を素早く解雇したことを鑑みると「非常に無責任」だと述べた。13,000人規模の職員を抱える同機関は、活動のほとんどすべてを各国の寄付に頼っており、現在100万を超える人々のために避難所を運営しているが、そのライフラインは「今にも崩壊しかねない」と述べた。

イスラエルとハマスの戦争で、地元の保健当局によれば2万6,000人以上のパレスチナ人が犠牲になり、ガザの広大な地域が破壊され、住民230万人の内85%近くが避難を余儀なくされた。イスラエル南部でハマスが行った攻撃では、民間人を中心に約1,200人が死亡し、約250人が人質となった。

ガザの保健省によれば、この1日で少なくとも174人のパレスチナ人が死亡した。ガザの保健省は、その死者数で戦闘員と民間人を区別していないが、約3分の2が女性と子どもであるとしている。

イスラエルは民間人の犠牲の責任はハマスにあるとしており、武装勢力が地元住民に紛れ込んでいると主張している。イスラエルは、ガザでの空爆と地上攻撃によって9,000人以上の戦闘員を殺害したと発表した。

イスラエル軍は、ハマスの司令官を標的としたラファ近郊での空爆に加え、南部の都市ハーン・ユーニスで「テロリスト関連の標的に的を絞った空爆」を数回行ったと発表した。

ビラル・アル・シクシクさんは、就寝中に起きたラファの空爆で妻と息子、娘を失ったと語り、ICJの判決は戦争を止めるものではないため、ほとんど意味がないと述べた。

「誰も彼ら(イスラエル)の前で声を上げることはできない。アメリカがその偉大さと強さをもってしても、何もできないのだ」と、彼は自宅跡の瓦礫とねじれた金属のそばに立って言った。

イスラエルが市民に避難を命じた後、100万人以上の人々がラファとその周辺地域に押し寄せた。指定された避難地域は何度も空爆を受けているが、イスラエルはこれについて必要に応じて過激派を攻撃していると述べている。

かつて安全地帯として指定されながら、ここ数日空爆を受けている狭い沿岸部の地区ムワシでは、避難民となったパレスチナ人たちが、湿った肌寒い天候の中、ゴミが散乱した水たまりをサンダル履きで、用心しながら歩いていた。シーツや防水シートで作られた壁が風になびく。住居に雨漏りがして毛布がびしょ濡れになったある母親は、涙を流していた。

「これが私たちの生活だ。何もない。何も持たずに(家を)出たんだ」とバッサム・ボルボルさんは話した。家族はハーン・ユーニスを出たもののラファには避難できる場所が見つからず、ムワシに行きついたという。

先の見えない状況に不満は募るばかりだ。何千人ものガザ市民がハーン・ユーニスからムワシに向かって逃がれる中、イスラエルは、打倒ハマスを叫ぶ群衆を映したビデオを発表した。

南アフリカがICJに提起した裁判では、イスラエルがガザの人々に対してジェノサイド(大量虐殺)を犯していると主張されているが、イスラエルはこれを激しく否定している。最終的な判決には何年もかかると見られている。

ICJはイスラエルに対し、ガザへ緊急援助物資を搬入させるよう命じた。国連によれば、ガザに入る援助は、戦争前の1日平均トラック500台を大きく下回っているという。国連はまた、検問所での「過剰な遅延」と軍事活動の活発化により、ガザ中心部と北部へのアクセスが妨げられていると述べている。

世界保健機関(WHO)と医療慈善団体MSFは、ハーン・ユーニス最大の医療施設であるナセル病院について緊急警告を発し、物資が枯渇し、近くで激しい戦闘が行われているため、残されたスタッフはほとんど業務を行うことができない状態だと述べた。

WHOが発表した映像では、混雑した病院内で人々が血で汚れた床の上で治療を受けている間、怪我人を案じて取り乱した人々が叫んだりもみ合ったりしている様子が映し出されている。また、猫が医療廃棄物の山を漁っていた。

「残っている鎮痛剤はこれだけだ。数えてみても、もう4、5人分しかない」とムハンマド・ハララ医師は話した。

ガザ保健省のアシュラフ・アル・キドラ報道官は声明の中で、ナセル病院では集中治療室用の麻酔薬やその他の医薬品が不足しており、血液も「危険なほど」不足していると述べた。

イスラエルの最も近い同盟国であるアメリカは、ガザ攻撃を支持する一方で、自制とガザへの人道援助の拡大を求める姿勢を強めている。

ガザに囚われた人質の解放を確保するための交渉に向けて、さらなる調停が予定されている。昨年11月の1週間の停戦中には、パレスチナ人囚人との交換で100人以上が解放された。残りの136人のうちの一部はすでに死亡したと見られている。

アメリカのCIA長官は、イスラエルとエジプトの情報機関のトップおよびカタールの首相とヨーロッパで会談する予定である。事情に詳しい関係筋3人(機密性の高い問題のため、身元は明かさなかった)が明かした。

ネタニヤフ首相は演説の中で、カタールに対する以前の批判を「一言たりとも」撤回しないと述べ、ハマスの指導者を受け入れ、ハマスに資金を提供しているとして同国を再び非難した。

「もしカタールが自らを仲介役と位置づけているのなら、どうかそれを証明して人質を取り戻してほしい。それまでの間、人質には医療を受けさせてもらいたい」とネタニヤフ氏は述べた。

首相の発言は右寄りの支持層を狙ったものと思われるが、この層に属さないイスラエル人たちはテルアビブとエルサレムのネタニヤフ首相官邸前で再び集会を開き、政府が人質を全員連れ戻せないことに不満を示し、新たな選挙の実施を要求した。イスラエルはまた、世界各国とともに国際ホロコースト記念日を祝った。

ハマス側は、戦争の終結とイスラエルが拘束している多数のパレスチナ人囚人の解放と引き換えにのみ、人質を解放するとしている。

AP

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