
ベイルート:2月2日、レバノン南部のティルスに住むパレスチナ難民は国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の事務所前でデモを行い、同機関が資金援助の停止により今月末までに同地域での事業を閉鎖せざるを得なくなる可能性があると発表したことに抗議した。
米国、英国、オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツを含む数カ国は、昨年10月7日のハマスによる攻撃に複数のUNRWA職員が関与していたとの疑惑を受け、同機関への財政支援を停止した。
レバノンの事情に詳しいジャーナリストのアイハム・アル・サーリ氏は次のように語った。「現在の状況はきわめて危険だ。これは集団的懲罰であるだけでなく、パレスチナ難民の大義の唯一の証人を消し去ることを目的としている」
「この問題は以前にも提起されている。UNRWA職員12人が10月7日の襲撃に参加したと仮定して、それはまだ確認されていないが、すべての難民が罰せられるべきなのか?どういう理屈でそうなるのか?」
ベイルートのパレスチナ研究所のメンバーでもあるアル・サーリ氏はこう続けた。「レバノンにおけるUNRWAの予算は年間1億6,000万ドルで、これによってUNRWAは難民に最低限のサービスを提供している」
「ここには、UNRWAの学校で教育を受けるレバノンのすべてのパレスチナ人学生のための教育費、医療費と職員の給与が含まれる。この予算が70%削減されれば、すべてのサービスが縮小され、その結果レバノンのパレスチナ難民へのサービスはゼロになる」
今週初め、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、「UNRWAの任務を終了させ、他の国連機関や国連以外の援助機関と置き換える」ことを改めて要求した。
UNRWAはパレスチナ難民問題を担当する唯一の機関である。支援活動や雇用問題を扱うだけでなく、キャンプのインフラ復旧やコミュニティ支援も行っている。
アイン・アル・ヒルウェ・キャンプのパレスチナ人リーダー、ガッサン・アユーブ氏は次のように話した。「レバノンは深刻な経済危機に直面しており、国民に医療や教育サービスを提供することができない。それでどうやってパレスチナ難民にサービスを提供するというのだろうか」
「UNRWAの存在は難民キャンプを安定させる要因であり、これが不安定化すれば深刻な影響を及ぼすだろう」
「もし資金援助が打ち切られれば、人道、社会、生活の面で悲惨な状況になるだろう」
氏はさらに次のように続けた。「レバノンのUNRWAには4,000人以上の職員がおり、ドイツが資金提供するキャッシュ・フォー・ワークと呼ばれる難民を4年間雇用するプログラムなど、特定のプログラムに従事する職員もいる。これらのプログラムはすべてUNRWAを通じて実施されている。これらの人々はどうなるのだろうか?援助も、保健サービスも、仕事もないままに放置されるのだ」
UNRWAは1949年に設立され、ヨルダン、レバノン、シリア、ヨルダン川西岸地区、ガザ地区に散在する約600万人のパレスチナ難民を支援している。
アユーブ氏は言う。「帰還問題の解決という政治的目標があるにもかかわらず、UNRWAは難民に何のサービスも提供していない。難民の再定住や、難民が現在いる場所での地位の調整を担当しているのだ。彼らはパレスチナ人を第3国に再定住させたいのだろうか?」