Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter
  • Home
  • 中東
  • ネタニヤフ首相、停戦はイスラエルのラファでの軍事作戦を「ある程度」遅らせるのみと発言

ネタニヤフ首相、停戦はイスラエルのラファでの軍事作戦を「ある程度」遅らせるのみと発言

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は25日、ガザ地区南端のラファでのイスラエル軍の軍事作戦は、ハマスとの間で数週間の停戦に関して合意が結ばれたとしても、「ある程度延期」されるのみであると述べた。(Reuters)
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は25日、ガザ地区南端のラファでのイスラエル軍の軍事作戦は、ハマスとの間で数週間の停戦に関して合意が結ばれたとしても、「ある程度延期」されるのみであると述べた。(Reuters)
Short Url:
26 Feb 2024 12:02:33 GMT9
26 Feb 2024 12:02:33 GMT9
  • 首相はCBSの取材に対し、停戦交渉が進行中であることを認めたが、詳細は伏せた イスラエルは武装勢力ハマスに対する戦線をラファまで拡大する計画を練っている

テルアビブ:イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は25日、ガザ地区南端のラファでのイスラエル軍の軍事作戦は、ハマスとの間で数週間の停戦に関して合意が結ばれたとしても、「ある程度延期」されるのみであると述べ、軍事作戦が開始されればガザ地区におけるイスラエルの完全勝利は「数週間以内」に達成されると主張した。

ネタニヤフ首相はCBSの取材に対し、停戦交渉が進行中であることを認めたが、詳細は伏せた。イスラエルメディアの報道によれば、仲介者は停戦合意に向け、またガザ地区で拘束されている人質とイスラエルで収監されるパレスチナ人の解放に向け、進展を見せている。複数のイスラエルメディアが、戦時内閣が合意を暗に認めているとする匿名の関係者の証言を紹介した。

カタールでの交渉は25日、実務者レベルで再開されたと、エジプトの国営アルカヘラTVは伝えた。アルカヘラTVは、エジプト政府関係者の話として、停戦と人質解放に向けたさらなる議論はカイロで続けられるとした。

一方、イスラエルは武装勢力ハマスに対する戦線をエジプト国境のラファまで拡大する計画を練っている。ガザ地区の全人口230万人の半分以上が身を寄せるラファは、支援物資の主要な搬入経路であり、攻撃が拡大すれば大惨事になりかねないと人道支援団体は警告する。米国などイスラエルの同盟国もまた、イスラエルは民間人の犠牲を回避しなければならないと主張している。

ネタニヤフ首相は、民間人の退避も含めたラファでの軍事作戦の計画を今週中に内閣に諮ると述べた。

「ラファでの軍事作戦が始まれば、激しい戦闘のフェーズは数カ月ではなく、数週間で完了する」と、ネタニヤフ首相はCBSに語った。「合意が締結できなかったとしても、作戦は実行に移す。われわれの目標は完全勝利であり、もはや完全勝利は目前なのだから、かならず実行しなければならない」

首相によれば、残る6つのハマスの大隊のうち、4つがラファに集中しているという。

ジェイク・サリバン国家安全保障担当米大統領補佐官はNBCに対し、ジョー・バイデン大統領はラファ攻撃計画のブリーフィングを受けていないと述べ、「(民間人保護の計画が)共有されるまで、また共有されないかぎり、この作戦は実行されるべきでないと、われわれは考えている」とした。

攻撃の最初の標的となったガザ地区北部では激しい戦闘が続いており、その破壊の規模は目を覆うほどだ。住民たちは、ガザ市のザイトゥーン地区で数日間にわたり激しい戦闘が繰り広げられたと証言した。

「わたしたちは閉じ込められ、爆撃の嵐のために身動きが取れません」と、住民のアイマン・アブー・アワドさんは語った。

彼によれば、飢えた住民たちは家畜飼料を食べることを強いられ、また倒壊した建物のなかでの食料探しを余儀なくされている。ガザ地区北部はほぼ完全に支援が断たれており、国連世界食糧計画(WFP)も先週、支援物資の輸送を停止した。

停戦案の詳細

カタールとともにイスラエル・ハマス間の仲介を担うエジプトの政府高官によれば、停戦草案には女性および高齢者からなる40人の人質の解放と、おおむね女性、未成年者、高齢者からなる300人のパレスチナ人収監者の釈放が盛り込まれているという。

交渉中のため匿名を条件に語ったこの高官によれば、提案されている停戦期間は6週間であり、この間に北部を含めたガザ地区への数百台のトラックの通行を認め、切迫して必要とされている支援物資を搬入する計画であるという。高官はまた、停戦期間中に交渉を継続し、被拘束者のさらなる解放と恒久的停戦をめざすことで、双方が合意したと述べた。

当事者たちは、イスラム教の聖なる月であるラマダンの初日、3月10日前後を非公式の期日として交渉にあたっている。ラマダンの期間中はしばしばイスラエルとパレスチナの間で緊張が高まることが知られる。

ハマスは、米国、エジプト、カタールが起草した最新の提案には関与していないと述べたものの、報じられている概要はおおむね前回提案における停戦の第1段階と一致するとした。

ハマスは、イスラエルが軍事作戦を終了し、ガザ地区から軍を撤退させるまで、残りの人質全員を解放することはないと表明し、数百人のパレスチナ人収監者を高位戦闘員も含めて釈放するようイスラエルに要求しているが、ネタニヤフ首相はこの条件を拒絶している。

苦悩のなか待つ人質の家族

イスラエルは10月7日、ハマス戦闘員がイスラエル南部に侵入し、ほとんどが民間人からなる約1200人を殺害し、約250人を拉致したことを受けて、ハマスに宣戦布告した。11月の停戦合意により、100人以上の人質が解放されたものの、現在も130人以上が拘束されており、うち4人に1人は死亡したとされる。

人質の家族は期待と苦悩のなか、交渉の行方を見守っている。

「シンドラーのリストのようです。誰がリストに載って、誰が外れるのでしょう?」21歳の息子オマーさんを人質に取られている母親のシェリー・シェム・トヴさんは、わが子の解放の可能性について、イスラエル軍ラジオで語った。

イスラエルは10月7日の越境攻撃に対し、空爆と地上軍攻撃によって報復した。これによりガザ地区全人口の約80%が自宅を追われ、数十万人が飢餓と感染症流行のリスクにさらされている。ハマスが支配するガザ地区の保健省によると、この戦争で2万9692人のパレスチナ人が死亡し、死者の3人に2人は女性や子どもだった。

保健省が発表する死者数は民間人と戦闘員を区別していない。イスラエル軍は1万人以上の戦闘員を殺害したと述べるものの、証拠は示していない。

ラファで新生児の死亡相次ぐ

戦争により、ガザ地区の医療体制は崩壊に陥った。部分的にでも機能している病院は全体の半数にも満たない。

ラファのエミレーツ病院では、20台ある未熟児用インキュベーターに、本来1人用の設計であるにもかかわらず、それぞれ3〜4人ずつが収容されている。

アマル・イスマイル医師は、多くの家族が冷たい雨のなかテントで暮らしているため、一度のシフトで2〜3人の新生児が亡くなると語った。戦争前、インキュベーターのなかで亡くなる新生児は月に1人か2人だった。

「わたしたちがどれだけ手を尽くしても無駄なのです。テントの衛生状態はとても劣悪ですから」と、イスマイル医師は語った。

AP

特に人気
オススメ

return to top