
パレスチナ自治区、ハーン・ユーニス: イスラエル軍が撤退した日曜、荒廃したガザ南部の都市ハーン・ユーニスに戻った4児の母マハ・タエルさん(38歳)は、「死のにおいがする」と語った。
「もう街はありません。瓦礫だけです。まったく何も残っていません。通りを歩きながら涙が止まりませんでした」と彼女はAFPに語った。
「通りはどこもブルドーザーで壊されました。臭いも…。掘り返して死体を運び出す人々を見ました」と、自宅が一部破壊されたタエルさんは語った。
イスラエル軍が部隊を撤退させると発表した直後、 ハーン・ユーニスの住民は、自分たちの家屋の状況を確認するため、荒廃した風景を目の当たりにした。
10月7日以前、ハーン・ユーニスとその周辺には40万人近くが居住していた。数ヶ月にわたる砲撃とイスラエル軍とパレスチナ武装勢力との激しい戦闘の後、この地域の多くは廃墟と化した。
150万人以上のパレスチナ人がイスラエル軍の執拗な地上侵攻と砲撃から逃れて避難しているガザ地区の、遥か南部にあるラファから、ロバの荷車や自転車、変わったピックアップトラックに乗った男性や少年たちがぞろぞろと北へ向かった。
周囲の建物はほとんど破壊されていた、アル・サラム病院の焼け跡を通り過ぎた。
ハーン・ユーニス西部の高級住宅街、ハマド・シティ地区出身のタエルさんは「とてもショックで悲しい」と語った。「壁も窓もありませんでした。ほとんどの建物は完全に吹き飛んでいました」と彼女は続けた。
「住むには適していないけれど、テントよりはまし」と、彼女は損壊したアパートに戻るつもりだと語った。
彼女の隣人はもっと大きな不幸に見舞われた。家が破壊され、行く当てもないという。またあるガザ市民は、まだ自宅の壁が残っていることを期待して、マットレスを頭にのせていた。
日曜にラファを離れたある住民は、かつて自宅だったハーン・ユーニスの瓦礫の山に登り、立ちすくんだ。
AFPの写真によると、周囲は廃墟と化し、コンクリートや鉄板の屋根が砕け散った中にその男性は立っていた。
戦火にさらされていない建造物はひとつもない。
他の画像では、市街地が広範囲にわたって平らになっている。
イスラエル軍はAFPの取材に対し、日曜に地上部隊の第98師団を「態勢立て直し」のため、南部の都市から撤退させた、と述べた。ある当局者はイスラエルのメディアに、同地で数千人のハマス戦闘員を殺害したと語った。
「我々が残る必要はない。できることはすべてやった」と、ある軍関係者はハアレツ紙に語った。
ガザ紛争は10月7日、ハマス武装勢力による攻撃で勃発し、イスラエルの集計によれば、そのほとんどが民間人で、1,170人が死亡した。
ハマスが統治するガザの保健省によると、イスラエルの報復攻撃によって、ガザでは少なくとも3万3175人が死亡し、そのほとんどが女性と子どもだという。
AFP